紅葉時季の「ながら登山」危ない 黒部峡谷・下ノ廊下、昨年から転落死続発

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断崖があり、険しいコースが続く下ノ廊下(県警提供)

 北アルプス・黒部峡谷「下ノ廊下」で昨年から登山客の転落死亡事故が相次いでいることを受け、富山県警山岳警備隊などが紅葉シーズン中の事故防止に向けて警戒を強めている。幅1メートルほどの険しい道が続く下ノ廊下は紅葉の名所としても知られ、昨年は見頃を迎えた10月に5人が転落死した。今月14日に千葉県の男子学生(21)が転落、死亡したほか、同19~22日の4連休から人出が増え始めており、県警は危険性を訴えている。(吉本佑介)

 下ノ廊下は元々、登山用ではなく水力発電所建設に向けた調査や資材運搬を目的に造られた。ごつごつとした岩肌をくりぬいた「水平歩道」など険しいコースが続き、川底まで100メートル超の断崖もある。

 2016~18年は死亡事故が年0~2件だったが、19年は10月10~21日の短期間に5件が続発した。そのうち4件は黒部ダム側の「旧日電歩道」で発生。補修や整備が完了しておらず、危険度が高いとして県警が注意を求めている場所だ。

 県警山岳安全課によると、転落の原因は特定できないものの、紅葉の時季の注意点として「ながら歩き」を挙げる。男子学生の事故直後には「話をしながら、景色を見ながら、写真を撮りながらの歩行は危険です」と訴える立て看板を、黒部ダム側と欅平(けやきだいら)側の入り口にそれぞれ設置した。

 同課によると、今月19~22日の4連休中には計50人以上が下ノ廊下を訪れたとみられる。黒部峡谷鉄道宇奈月駅では19日から、近年の死亡事故発生地点を示したチラシを配布。10月最初の週末となる3日も、富山大ワンダーフォーゲル部の学生や山岳関係者らが、登山客に啓発グッズを配る。

 下ノ廊下一帯の木々は9月末時点で完全には色づいておらず、今後気温が下がるにつれて紅葉が進む。同課は「10月以降は黒部ダム側からの入山者が増える傾向にある。事故を防ぐ“特効薬”はないが、粘り強く安全を呼び掛けていきたい」としている。