これからサラリーマン川柳

 ぼやき、自虐、苦笑いで味付けしたサラリーマン川柳に、小欄はよくお世話になる。第一生命保険が毎年募り、コンクールは今年、33回を数えた。時に働き過ぎを嘆き、時にIT化についていけない自分を笑う▲近頃の新人ときたら…と、笑いを含んだぼやきもある。例えば〈電話口「何様(なにさま)ですか?」と聞く新人〉〈新人にメールで指示して返事は「りょ」〉。ちなみに「りょ」は「了解」で、親しい人に手短に返す場合にほぼ限られる▲やや大げさな作品も、創作めいた作品もあるのだが、上司は上司で笑いの種にされ、新人は新人で苦笑やぼやきの的になり-と、ほろ苦い経験ならば多くの方がお持ちだろう▲では“新人未満”の心持ちは? 来春、社会に出る予定の学生から募った「これからサラリーマン川柳コンクール」の優秀作がきのう発表された。多くはコロナ禍での就職活動を詠んでいる▲〈スーツ着て向かった先はディスプレイ〉。パソコンの画面上で面接する「オンライン就活」は、緊張よりも戸惑いがまさったかもしれない▲就職先が決まった後の、内定式か何かだろうか。〈マスクする同期の顔が皆同じ〉。みんなマスク姿で、よく見分けがつかなかったよね…。いつの日か、ほろ苦い思い出として語れるといい。来春は満面の笑みで会えるといい。(徹)

© 株式会社長崎新聞社