基準地価 長崎県内447地点 変動率プラスは大幅減 様子見の動き広がる

本県地価調査 平均価格と変動率

 長崎県内447地点の7月1日時点の基準地価は、新型コロナウイルス感染症の影響で経済活動が停滞し、土地取引にも様子見する動きが広がった。変動率がプラスになった地点は、住宅地は昨年の75地点から49地点に、商業地では同47地点から29地点に大幅に減った。
 住宅地の変動率はマイナス1.2%で22年連続マイナス。下落幅は2012年以降縮小傾向だったが、今回は0.2ポイント拡大した。上昇幅が縮小、または下落幅が拡大した下落基調の市町は、前年の2から10に増えた。
 最高価格は32年連続で長崎市上西山町の1平方メートル当たり23万6千円。上げ幅もプラス6.3%と最大だった。下落率の最大は五島市奈留町のマイナス5.8%。人口減少や高齢化で過疎化が著しく、需要の回復が見込めない状況という。
 昨年、27年ぶりに下げ止まった商業地はマイナス0.9%で、再び下落した。昨年は、上昇幅が拡大、または下落幅が縮小した上昇基調の市町が18あったが、今年は4。逆に、下落基調の市町が1から14に増えた。離島の市町が下落率上位で、下落に歯止めがかかっていない。
 最高価格は長崎市浜町の同94万4千円。最も上昇した地点はJR長崎駅近くの同市恵美須町でプラス4.9%。同駅周辺の再開発の影響で上昇傾向が続いていたが、昨年の11.3%から縮小した。離島の佐世保市宇久町がマイナス5.9%と最も落ち込んだ。
 長崎市以外の市町では、佐世保市の下落率が住宅地で横ばい、商業地は拡大。好立地の住宅地、佐世保駅周辺や中心商業地は堅調だが、斜面地にある住宅地の需要が極端に弱く、長崎市と同様に二極化が進む。諫早市は住宅地、商業地ともに下落幅が拡大した。住宅地は全体的な供給過剰傾向から中心部が上昇から横ばいになった。中心商店街は再開発事業の推進で底値圏にあるとみられる。
 大村市と時津町は住宅地、商業地ともに上昇幅は縮小。長与町と佐々町は住宅地はプラス、商業地は横ばいで長与町は上昇から転じた。それぞれ堅調だった新興住宅地や幹線道路沿いの商業地などに、先行きの不透明感も見え始めている。

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