長崎原爆 継承へ「考え続ける」 芥川賞作家・青来さん大村で講演

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自身の創作などについて語る青来さん(右)=大村市、ミライon図書館

 長崎市在住の芥川賞作家、青来有一さん(61)が26日、大村市東本町のミライon図書館で講演した。長崎原爆を題材にした創作の内幕などを明かし「語り継ぐだけでなく、世代を超えて原爆とは何かを考え続けていくことが、本当の意味の継承」と述べた。
 「核時代の文学-偽(にせ)の語り部と小説の真実」と題して講演。被爆体験のない自身が原爆小説を書くことについて、長崎原爆の被爆者で芥川賞作家の故林京子さんから以前「自由に書いてください」と言われた出来事を紹介。「(原爆に)関心を失わないためにも、とにかく書いてほしいというメッセージだと思う」と受け止めを語った。
 その上で、林さんが作中で使った「(被爆体験の)忘却」の表現に触れ「目の前にありながら当たり前過ぎて忘れ、意識しなくなってしまう。現代の核兵器の危うさはむしろ、この“忘却”」と指摘した。
 トランプ米大統領が極秘に長崎原爆資料館を見学する筋書きの近作「フェイクコメディ」(2018年)にも言及。「荒唐無稽だがシリアスな現実が埋め込まれている。小説の真実とは現実世界との接点」と解説した。
 講演は県と長崎市、長崎大でつくる核兵器廃絶長崎連絡協議会と、長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)が共催。青来さんはレクナ客員教授。約70人が訪れ、インターネットでのライブ配信もあった。