阪神大山は「責任を果たせる打者」 バース以来の本塁打王に必要な“確実性”とは?

阪神・大山悠輔【写真:荒川祐史】

今季は大きく成長も、元阪神エース藪恵壹氏は愛ある辛口エール「まだまだですよ」

■阪神 7-3 中日(29日・甲子園)

阪神は29日、本拠地での中日戦に7-3で勝利した。試合は中盤まで取りつ取られつのシーソーゲームとなったが、5回に糸井嘉男外野手が勝ち越しとなる2号2ランを放つと、6回に大山悠輔内野手がバックスクリーンへ22号ソロ。低い弾道で刺さるようなライナー弾で、セ・リーグ最多本塁打の巨人・岡本和真内野手に1本差に迫った。

大山が本塁打王に輝けば、阪神では伝説の助っ人、ランディ・バース(1985年、86年)以来の快挙となる。今季、飛躍的な成長を遂げている和製大砲に「遠くへ飛ばす能力はある選手」と期待を寄せるのが、元阪神エースでメジャーの藪恵壹氏だ。

今季開幕前から「阪神は大山選手と高山(俊)選手を使って育てないと強くならない」と言い続けてきた藪氏。白鴎大から2016年ドラフト1位で入団した大山は「阪神の4番という期待に応え、責任を果たせる打者」と高く評価する。

「当然、4番になるべき打者という位置づけで獲った選手です。期待の右の大砲。まだ淡泊に見える打席もあるけれど、今年は積極的にファーストストライクを打っていく姿勢を続けてきました。それは継続していい姿勢。この日の第4打席も思いきりの良さがあったから、ライトへの二塁打になりました」

「確実性という面ではまだまだ。打席による波が激しすぎますね」

昨シーズン後半から4番を任される機会が増え、今季はサンズ、ボーアという強打の助っ人がいる中でも主砲として期待される。入団以来の道のりを「紆余曲折はありましたけど」という藪氏は、今季キャリアハイを超える成績を残す大山について「まだまだですよ」と愛ある檄を飛ばした。

「もっとできる選手。あとは数字で証明しないといけない。4番の数字がきっちり出せるかどうか。本当は3割・30本・100打点と言いたいところですが、今季は例年より23試合少ないので25本・90打点はクリアしてほしいですね」

9月29日終了現在、22本塁打、59打点の成績。チームは35試合を残しており、このままのペースでいけば25本塁打以上はほぼ確実だが、打点が際どいラインとなりそうだ。

大山が4番打者として、さらに成長するためには何が必要なのか。4番の数字を残すためには、どんなことをすればいいのか。藪氏は「確実性」がカギになるという。

「確実性という面ではまだまだ。打席による波が激しすぎますね。ムラを減らせば数字がついてくるでしょう。ただ、今年もよくやっていますよ。この調子で頼れる4番になってほしいですね」

打席で臆することなく積極的なアプローチを続け、このまま一気に本塁打王タイトルの獲得といきたい。(佐藤直子 / Naoko Sato)

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