オンラインで「ビブリオバトル」 佐世保市立図書館 交流の在り方模索

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佐世保市立図書館が初めて開いたオンラインビブリオバトルの参加者ら(市立図書館提供)

 「バトラー」と呼ばれる発表者がお薦めの本を紹介し、聴衆が最も読みたいと思う1冊を投票で選ぶ書評合戦「ビブリオバトル」。数年前から精力的に取り組んできた佐世保市立図書館(宮地町)は9月からオンラインでの開催を始めた。初回は参加者を最小限に抑え、無観客で企画。職員らは「できることから再開したい」と、コロナ禍での本を通じた交流の在り方を模索している。
 同館は4年前にビブリオバトルを始めた。学校や社会福祉団体などさまざまな人たちと連携して企画。取り組みは全国的にも評価され、昨年はビブリオバトルの普及団体の表彰で最高賞に輝いた。
 活動に弾みを付けようとしたところに新型コロナウイルスの感染拡大に見舞われた。4月中旬から臨時休館に入り、恒例の図書館まつりでのビブリオバトルは中止に。緊急事態宣言の解除を受けて開館した後は感染予防対策に追われる日々が続いた。
 本という共有物を扱う不安、ビニールシート越しで制限される来館者とのやりとり…。「図書館には何ができるのかと暗い雰囲気にもなった」とビブリオバトルを中心的に運営する田中裕子司書。
 一方、ビブリオバトルの会場で出会った人々が話を弾ませ、新たなつながりを紡ぐ瞬間を何度も目の当たりにしてきた。「こんなときだからこそ、動きを止めてはいけない」。ビデオ会議システム「Zoom」の活用などを研究し、オンライン開催にめどを付けた。
 初回となった9月22日はこれまでに連携した市内の2団体から3人のバトラーが参加。メッセージを送るチャット機能で質疑応答を代用したり、通信が途切れて中断したときのための職員が待機したりするなど工夫した。
 バトラーで「させぼの読書会」を主宰する稗田憲太郎さん(31)は「画面に向かって話すのはいつもと違う緊張感があった」と感想。「家にこもりがちになったり、人とのコミュニケーションが減ったりしている。本を通じて見える景色を誰かと共有する場があり続けてほしい」と期待を寄せる。
 初回の映像は今後公開する予定。聴衆がオンライン上で見学できる方法も検討していく。田中司書は「今までの経験がゼロになったわけではない。『何かできる』という気持ちで取り組んでいきたい」と前を見据えた。