佐賀県議会「積極協議を」 新幹線長崎ルート整備方式、県への要請決議

 佐賀県議会は30日の定例会最終本会議で、九州新幹線長崎ルートの未着工区間(新鳥栖-武雄温泉)の整備方式について、国土交通省と積極的に協議するよう県に要請する決議案を賛成多数で可決した。閉会後、山口祥義知事は報道陣に「佐賀県と県民の今と将来をしっかり見据えて対応したい」と述べたが、同省が9月末ごろまでに同意を求めていた環境影響評価(アセスメント)の着手については「考え方は変わらない」として受け入れない姿勢をあらためて表明した。

 同省の担当者は決議について「非常に意義がある」と評価。「具体的かつ前に進むよう協議したい」と述べ、10月中旬に同県と3回目の協議を実施する方向で調整していると明らかにした。
 また同省は9月末ごろまでに、整備に先立つ環境アセスに同意を得られれば、2023年度着工に向けた与党の財源論議に乗り遅れないとしていた。担当者は「(知事が同意せず)23年度着工は非常に厳しい状況だが、環境アセスにご理解をいただければ、すぐにでも着手できるよう精いっぱい努力したい」と話した。
 長崎県の担当者は「佐賀県内の議論が活発になることを期待したい。23年度着工の可能性は残されていると思われるので、県として何ができるか考えたい」と述べた。
 決議案は自民など3会派が提出。議員間で考え方の相違もあり環境アセスへの同意を明確に要求せず、「環境アセスの実施をはじめ様々な可能性を想定しながら」積極的に協議することなどを求めた。長崎県議会の瀬川光之議長は「『環境アセスの実施』という表現が盛り込まれており、一歩前進と受け止めたい」と歓迎した。
 長崎ルートの未着工区間の整備を巡っては長崎県やJR九州はフル規格を要望しているが、佐賀県は財政負担やJR九州からの並行在来線の経営分離など複合的な課題があるとして「求めていない」との立場。同県と国交省は今年6月からフル規格、ミニ新幹線、フリーゲージトレイン、スーパー特急、リレー方式の五つの整備方式について「幅広い協議」を開始。同省は「腰を据えて議論できる」として、並行していずれの整備方式にも対応できる環境アセスの実施を提案したが、同県は「フル規格狙い」と警戒し拒否していた。

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