漁業者側が和解示唆 諫干請求異議差し戻し審 福岡高裁

 国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の開門確定判決を巡り、開門を強制しないよう国が漁業者に求めた請求異議訴訟差し戻し審の第3回口頭弁論が30日、福岡高裁(岩木宰裁判長)であった。弁論後に漁業者側の馬奈木昭雄弁護団長は次回の進行協議で和解を提案する可能性を示唆した。
 国が主張する諫早湾近傍部の漁獲量増加について、漁業者側が「漁獲品質としても改善したことも明らかにすべき」と求めたが、国側は「確定判決は漁獲量の減少は認定しているが、漁獲品質の低下は認定していない」とし、「回答の要を認めない」とした。漁業者側は再度回答を求めた。
 終了後、馬奈木団長は「状況次第で和解を提案するかもしれない。大臣も代わった。和解が1番いいというのは一致している。中身については協議すればいい」と語った。農林水産省の北林英一郎農地資源課長は「進行協議については非公表なので答えられない。非開門で基金による和解というスタンスは変わらない」とした。

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