BiSH×NHK福岡の音楽特番 「オンライン公開収録」リポート&インタビュー!

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NHK福岡局は10月9日(午後10:45)に音楽特番「六本松ベース」を放送する。番組のスタイルは、観覧者を募集した公開収録。ただ、これまでと違う点は“オンラインを介して”アーティストと一つのステージを作り上げていくということ。このように観覧者を広く募集し、オンラインで公開収録したのはNHK全体で初の試みだという。

そんな「六本松ベース」は、同局で毎週金曜午後11:00に放送しているラジオ番組「六本松サテライト」とセットで企画されたもの。元々は、毎週のラジオでアーティストとの接点を作りつつ、年に2回ほどのライブコンテンツとしてテレビ「六本松ベース」を行う予定だった。しかし、新型コロナウイルスの影響もあり、これまでライブの開催には至らず。

あらゆる公開イベントが実施できない中でも、視聴者が参加できる公開型の番組を作れないかと考えた結果、同局のイベントチームの協力、そしてオンライン会議などで使われるシステムを駆使する形で今回の企画が実現した。

番組のコンセプトは「福岡発世界」。地方の放送局として、地元にゆかりのあるアーティストを応援したい、テレビとラジオ両方を使って、地域から全国、世界へ向けて、福岡の「音楽シーン」「エンタメシーン」を発信していきたい、という思いが込められている。

この収録に登場したのは、楽器を持たないパンクバンド・BiSH。メンバーのハシヤスメ・アツコは福岡出身、「六本松サテライト」のDJ・松隈ケンタは、サウンドプロデューサーとしてBiSHの楽曲を手掛けている。

今回は、事前に応募があったおよそ500人のうち200人が当選。福岡はもちろん、北海道や栃木、京都など全国各地からファンが参加した。

中村雅郎チーフプロデューサーは「今回は200人だったが、理論上は回線があるだけ参加者は増やせる。次に挑戦する時は1000人くらいの規模でやりたい。いずれはアジア各国のアーティスト、オーディエンスを取り込んでいきたい」と、壮大なプランを明らかにした。

そんな新たな試み「オンライン公開収録」を前に、出演するBiSHのメンバー6人(アイナ・ジ・エンド、アユニ・D、セントチヒロ・チッチ、リンリン、モモコグミカンパニー、ハシヤスメ・アツコ)が取材に応じた。

――松隈さんと今回の出演について何かお話はしましたか?

セントチヒロ・チッチ 「前レコーディングでお会いした時に、“今度よろしくね”っていう感じで言われました。松隈さんがやっている番組にBiSHがお邪魔するというのは新鮮でしたね。テレビでは初めてだと思います」

――福岡では(「六本松サテライト」をはじめ)ラジオDJとしても活動されている松隈さんですが、普段はどのような人ですか?

モモコグミカンパニー 「みんなでさっきも言ってたんですけど、やっぱ『パパ』みたいだなって(笑)。BiSHの楽曲もほとんど全部作ってくださっていて、それが私たちの象徴とも言えるので。松隈さんなしではBiSHは語りきれないという部分もあって、産みの親という意味ではパパだと思います」

――福岡出身のハシヤスメ・アツコさんがファンに薦めたい福岡グルメは?

ハシヤスメ・アツコ 「いろいろありますねー。福岡はどこのお店入ってもおいしいですから。でも、前回のツアーでメンバーと行ったもつ鍋がすごくおいしかったです」

――収録前日から福岡入りされているとのことですが、福岡グルメは何か食べましたか?

ハシヤスメ 「ハシヤスメは結構食べました。まずお昼に天神でミオミオのサラダパスタを。あれめちゃくちゃ好きなんですよ。東京でも食べたいです」

アユニ・D 「天ぷらのひらお食べました。めっちゃおいしかったです。(イカの)塩辛大好き」

モモコ 「さっき、楽屋にむっちゃん万十を持ってきてもらって食べました。みんなで飛びついて、争奪戦をしました(笑)」

――コロナ禍での活動についてお聞きします。2月以降のライブが中止になってしまいましたが、オンラインや無観客でのライブは慣れましたか?

アイナ・ジ・エンド 「慣れ…というより、最初は寂しさをすごく感じていたんですけど今はオンラインを有効活用して、画面でしかできないライブができているかなと思います。例えば客席に降りることとか、お客さんがいるとできなかったので、そういうことに挑戦できたり、新たな試みとかを考えてライブをするのが楽しいなと感じています」

――今回披露する中で注目してほしいパフォーマンスはどこですか?

チッチ 「披露する『LETTERS』という曲は、今回お客さんと私たちが一緒に映る演出があって、いつもと違うフォーメーションで歌っています。それが今届けたい思いと重なっているなという感覚があって、皆さんを背にして、皆さんへの気持ちを歌っている感じをぜひ見てもらいたいなと思います」

――その「LETTERS」が収録されている「3.5枚目」のアルバムについて。オリコン週間アルバムランキングで1位を獲得するなど好評ですが、今の気持ちを聞かせてください。

チッチ 「支持される理由は明確には分からないですけど、(コロナ禍の)こういう世界になって、私たちに何ができるかって考えた時にできたアルバムがベストアルバム『FOR LiVE -BiSH BEST-』と3.5枚目の『LETTERS』でした。これらはBiSHなりの愛の形であり、“誰かを守りたい、救いたい”と言えるBiSHになれたっていう意思表明でもあったので、これで1位をとれたというのにすごく意味があるなと感じています。それを糧にBiSHらしさをこれからも大事にしていきたいです」

――収益を全国のライブハウスに寄付した「ベストアルバム大作戦」がありました。福岡のライブハウスでの思い出があれば教えてください。

チッチ 「福岡はお客さんが元気で、女の子も元気なイメージ。どっちかというと、男の人よりも女の子の声がすごく声援として聞こえてきたという思い出があります。あと、ハシヤスメに優しい(笑)」

ハシヤスメ 「そうですね。『おかえりー』って受け入れてくれる雰囲気があります。アンコールでは『アツコール』もあったり、コントをやった時とかも笑ってくれたり優しいです(笑)。あと、福岡ソフトバンクホークスの応援歌『いざゆけ若鷹軍団』を全員で大合唱しました。福岡に住んでいるとやっぱ自然に歌えるようになるじゃないですか(笑)。ファンの人と一つになれた感じがしますね」

――「アツコール」の間、ほかのメンバーはどういう気持ちなのでしょうか?

アイナ 「あっちゃんは福岡のライブのたびに、次は大きい(福岡の)会場でやりたいですと言っていて、少しずつですけど実際にそれがかなっていくのをファンの人たちも見てくれていると思うんです。あっちゃんのことを普段だったらちゃかしたりもするんですけど、福岡の時は『本当にこの人福岡が好きなんだな』『よかった』っていう温かい気持ちで見てますね」

――最後に、収録の意気込みをお願いします。

アイナ 「個人的になんですけど、福岡の女の子がすごく好きで(笑)。奇麗で清潔感があるイメージなのに、方言の影響もあるのかはっちゃけて元気に見えるし、実際しゃべると朗らか。そういう読めないなっていうところがすごく好きなんです! 福岡っていう場所でライブができることがすごくうれしいので、今日は精いっぱい、福岡の女の子たちに届くように歌います!」

アユニ 「BiSHとしても久しぶりのライブなので、福岡で汗かいて、福岡で気持ちよく楽しくなって、今日は精いっぱいやりきりたいと思います」

チッチ 「東京から飛び出して、福岡に来たっていうのもすごく久しぶりで、BiSHにとっても今日は『やっと抜け出せた日』という気持ちです。この六本松ベースでは、いつもと違ってお客さんが見てくれていて、ちょっと会話もできます。一歩飛び出したような気持ちにさせてもらっているので、見てくれている人たちに全力で届けていきたいなという思いです。最近は毎回毎回が貴重なものだと感じているので、言葉も歌も大事に伝えたいです」

リンリン 「ずっと無観客ライブをここ最近やってきたんですけど、今日は周りに画面越しでお客さんの姿が見えます。今の時代の新しいライブのあり方の一つだと思うのでとても楽しみです」

モモコ 「オンラインライブということで、本編も素晴らしいライブにしたいと思っているんですが、背景の映像の『NHK』というのもシュールで面白いのでぜひ注目して見てください!」

ハシヤスメ 「今日は、後ろの画面に清掃員(BiSHファンの呼称)の皆さんがいて、後ろだけでなくて横とか前にもモニターがあって、さらに、目の前のカメラの向こうではもっとたくさんの視聴者が見ていると思うので、われわれは今日たくさんの人に囲まれていると思うんです。まるで…『博多通りもん』のよう! 皆さんが皮なら私たちはその中の餡(あん)だと思います。博多通りもんのようにみんなに愛されるライブにしたいです!」

アイナ 「(ハシヤスメのコメントを聞いて)おー、ちょっと上手(笑)」

ハシヤスメ 「『あのアイナ・ジ・エンドが絶賛した』と記事に書いてください!(笑)」

ハシヤスメの名言(?)が誕生し、取材は和やかな雰囲気で終了。博多ニュースは、その後の収録スタジオにも潜入した。収録の雰囲気を紹介しよう。

BiSHの登場を心待ちにするファンの前にまず登場したのは、「六本松サテライト」でおなじみの松隈と栗田善太郎。2人からは「録音・録画、配信画面のスクリーンショットは禁止」「会員制交流サイト(SNS)へのネタバレとなる書き込みはNG」「『#六本松ベース』をつけて番組の感想をつぶやくのはOK」といった収録上の留意点が伝えられた。

「ライブの一体感」を演出するため、参加者には事前に番組ロゴのフェースシールや、画面に映すためのメッセージカードを配布。スクリーンからは、そのシールを身に付けて部屋で1人見ている人や、家族ぐるみで参加する人、ペットと共にライブを楽しむ人など、いろいろな状況が垣間見える。

そしていよいよ本編へ。暗転し、曲の始まりとともにBiSHが登場すると、思わず感極まるファンも。振り付けを一緒に踊ったり、歌を口ずさむ人の姿もうかがえた。数曲披露したのち、映し出されたファンの顔を見たBiSHのメンバーは、「ハシヤスメみたいな(眼鏡の)人いる!」「リンリンの人形を作って見せてくれている人がいる!」「小さい子が踊ってる、かわいい!」など、久しぶりのファンとの交流を楽しんでいた。

収録の中盤は、オンラインでつながるファンと会話するコーナー。事前に寄せられた悩みやメッセージにメンバーが答えていく。BiSHに関する質問から恋愛の悩み、コロナ禍ならではの悩みまで、さまざまな悩みにBiSHが丁寧に答えていく。

また、ステージ上ではファンに聞いた「BiSHの好きな曲ランキング」も発表。歌唱する本人やサウンドプロデューサーである松隈の予想は当たるのか? 結果を受けたメンバーの感想にも注目だ。

最後は、彼女たちの今の思いを乗せた曲「LETTERS」を披露。スクリーン上のファンは、メッセージカードを画面越しに映してメンバーへの気持ちを伝えた。曲が終わり余韻の残る中、たくさんのメッセージを見たチッチは「お客さんと一緒にライブをできて幸せです。たくさんの愛を感じています」と声を詰まらせていた。

全編の収録が終わった後は、参加者に向け特別に「ある曲」をパフォーマンス。メンバーも「まさかこの曲をNHKさんで歌えるとは」と驚き、思いがけないサプライズにファンも喜んでいた。

アーティストとファンが同じ時間を共有し、従来のライブと変わりない熱気に包まれた「六本松ベース」。番組は、NHK総合テレビ九州・沖縄ブロックにて10月9日(午後10:45)の放送予定となっている。