<社説>沖縄予算概算要求 自主性尊重の原点に返れ

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 内閣府の2021年度沖縄関係予算の概算要求は3106億円となった。前年と比べて84億円の減額要求となっており、要求額が減るのは4年ぶりだ。このうち沖縄振興一括交付金は、前年の要求額を103億円下回る1085億円にとどまった。要求額として過去最低だ。 名護市辺野古への新基地建設に反対する県政が誕生して以降、沖縄関係予算、とりわけ沖縄振興一括交付金の減額が顕著だ。基地問題を巡り国と対立する県政を冷遇し、県の自由度を縛ろうとする政治的な裁量が働いていないかと疑念を抱かざるを得ない。

 21年度は現在の沖縄振興特別措置法の最終年度であり、目指す将来像を県民自らで描いた「沖縄21世紀ビジョン基本計画」の総仕上げの1年となる。だが、減額要求となった内閣府の概算要求から後押しの熱は伝わってこない。

 もちろん、新型コロナウイルスの収束が見通せず国費への歳出圧力が強まる中で、無用に予算を膨らませない財政規律は必要だ。一方で沖縄は基幹産業の観光を中心に打撃が大きく、コロナ禍を克服する対策が求められる。

 県は沖縄振興予算と別枠で新型コロナ対策に必要な予算の確保を要請していた。しかし、コロナ後の経済対策となる観光支援事業などが今回の概算要求には盛り込まれており、その上で全体として減額の要求となっている。

 県や市町村の自由度が高い沖縄振興一括交付金についても、20年度まで6年続けて減額となっている中でさらに減額の要求となった。対照的に存在感を増しているのが、県を通さず国が直接市町村などに交付する「沖縄振興特定事業推進費」だ。

 特定事業推進費は19年度に30億円が初めて設けられ、20年度は概算要求通りに55億円を措置した。今回の概算要求では85億円を要望し、2年連続の大幅な増額要求だ。

 沖縄関係予算全体に占める一括交付金の割合は13年度に53.7%だったのが、20年度は33.7%にまで低下している。一括交付金を減額して県の自由度を縛る一方で、国の裁量による新たな交付枠を設けるのは、沖振法が掲げる「沖縄の自主性を尊重」という目的に逆行する。

 問題なのは、一括交付金の減額や特定事業推進費の増額について積算基準が明確でないことだ。内閣府は一括交付金の減額理由に「執行残などの不用額の多さ」を挙げていた。だが、県や市町村の努力で不用額が抑えられると、減額理由が「所要額を積み上げた結果」と変わってきており、説明に一貫性がない。

 時の政権の都合による恣意(しい)的な判断で、県政と市町村の関係を分断する道具に予算が使われないかと危惧する。

 政府は沖縄関係予算を基地問題の取引材料に絡めてならないのは当然のこと、沖縄の自主性の尊重という振興の原点に立ち返ることだ。