【社会の実情を示すストーリーを描いたラップ曲5選】2Pac、ケンドリックなど

YouTube:Slick Rick - Children's Story (Official Video)

ストーリーテリングはラップにおいて大きな要素である。これらの曲では様々なエンディングが最後に待ち受けているが、ポジティブなストーリーばかりではない。リスナーに社会問題について伝えるために、重い内容について語っているものも多く、映画のようにリスナーの心に残るものとなっている。今回は、数あるストーリー性の高いラップソングの中から、「悲しい終わり方をするラップ」を5つ厳選したので、これらを解説していきたい。  

2Pac(トゥパック) – “Brenda’s Got a Baby”

YouTube:2Pac - Brenda's Got A Baby (Official Music Video) 

2pacは、自分の子供をゴミ置き場に捨てた12才の少女について新聞で読み、この曲を書くことに決めたようだ。「Brenda’s Got a Baby」は、10代の妊娠と、崩壊している福祉システムをテーマにした曲で、望まない妊娠をしてしまい、子供の世話について思い悩む少女Brendaについての話である。選択肢がなくなってしまったBrendaは、売春によって自分の子供を育てていこうと決める。「だから彼女はセックスを地獄から逃れる術だと思っている/その売春婦が殺されて判明した、名前はBrendaで、彼女には子供がいた」と最後にラップする2pac。実に悲しいエンディングの曲となっている。  

Slick Rick(スリック・リック) – 「Children’s Story」

YouTube:Slick Rick - Children's Story (Official Video) 

「Children’s Story」は子供たちがおじさん(Slick Rick)に「寝る前にお話しを聞かせて」と言うところから始まる。おじさんが話したのは、道を踏み外したある少年の物語だった。その少年は友達から「金を稼ぐためにひったくりをしないか?」と誘われ、彼らは一回のつもりで犯行に及んだ。少年は簡単に金を稼げることに味をしめ、盗みを繰り返すようになる。
ある日、男性をひったくりしようとしたら、その人はおとり捜査官だったのだ。少年は逃げ回った。そして逃げた先で妊婦を人質にとったが、彼は残っていた良心から自分の過ちを理解し、人質を解放した。しかし、まもなく少年は取り囲まれた警察官に銃殺され、命を落とした。過ち/判断の繰り返しはエスカレートするというメッセージが込められている曲となっている。

Kendrick Lamar「Keisha’s Song (Her Pain)」ほか楽曲はこちらで確認を。(詳細はこちら

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