浜辺美波と瓜二つ、浜田朱里のデビューは40年早かったのか? 1982年 2月25日 浜田朱里のシングル「想い出のセレナーデ」がリリースされた日

__80’s Idols Remind Me Of… Vol.24
浜田朱里 / 想い出のセレナーデ__

浜辺美波って誰かに似てる… 誰だ? あああ、浜田朱里だ!

2020年夏クールのドラマたち… コロナ禍によって撮影スケジュールが予定通り遂行できないという影響を被り、いくつかの作品は途中中断や打ち切りの憂き目にあったりしていた。これはもう由々しき事態ではあるのだが、まったくもってどうしようもないことなので、与えられた作品を粛々と観覧するしかなかったのだが…。

一部の熱狂的ファンを生んだ日本テレビ系ドラマ『私たちはどうかしている』をご覧になったことはあるだろうか。観月ありさのエキセントリックな演技が脚光を浴びて思わぬ話題を振りまいていたが、ある意味かつての大映ドラマを彷彿とさせる昭和な愛憎劇が繰り広げられたドラマだ。ヒロインは、今や若手女優界では広瀬すずや橋本環奈にも迫る勢いの人気を誇る浜辺美波。彼女の見目麗しい容姿を堪能するためだけに『私たちは~』に毎週チャンネルを合わせていた方も多いのではないだろうか。

そんな9月某日のある晩、筆者はご多聞に漏れず浜辺さんの美しい御姿を拝むために『私たちは~』にチャンネルを合わせていた。相変わらず美しくてかわいい彼女の大仰な演技を観ながら、「赤いシリーズかよ!」なんてツッコミをひとつやふたつ宣っていたのだが…。ふと 「赤いシリーズ… 山口百恵… そういえば浜辺美波って誰かに似てる… 誰だ?」という感じで、気になってきたわけで…。もやもやしながら観進めていくうちに、ハタと気づいた!「あああ、浜田朱里だ!」。そう浜辺美波は、浜田朱里にそっくりではないか。映された角度によっては瓜二つ。ああ、なんという衝撃、「赤いシリーズかよ!」というツッコミは、あながち間違ってはいなかったのだ。

まさしくポスト山口百恵、アイドルシーンに颯爽と登場!

浜田朱里は主に80年代前半に活動していたアイドル歌手(デビュー時の経緯やデビュー曲に関しては『1980年にデビューした浜田朱里、山口百恵の引退と大いなる時代の変化』参照)。山口百恵が引退した1980年に、まさしくポスト山口百恵的なスタンスでアイドルシーンに颯爽と登場してきた。赤いシリーズ「赤い魂」の主役出演、デビュー曲「さよなら好き」でのテレビ露出等々… デビュー年当初(おおよそ1980年4~12月)のマネジメントの鼻息の荒さは、松田聖子に及ばずとも柏原よしえ、河合奈保子とは遜色なかったという印象だった。

要は1980年デビュー組のビッグ3と、がっぷり四つの戦いを繰り広げていたわけだ。人気バラエティ番組『プロポーズ大作戦』内の「フィーリングカップ5vs5」において、1番松田聖子・2番浜田朱里・3番柏原よしえ・4番河合奈保子・5番研ナオコ(1980年12月放送)というブッキングがなされていたのは好例のひとつであろう。正統派美人たる浜田朱里のルックスの良さは、実に際立っていた。

テコ入れシングルは天地真理のカバー「想い出のセレナーデ」

しかし本業である歌手としての実績は思わしくなかった。デビュー曲に続く2枚目のシングルは作詞:糸井重里 / 作曲:馬飼野康二、3枚目から6枚目は作詞:三浦徳子 / 作曲:馬飼野康二(河合奈保子「大きな森の小さなお家」の布陣!)で臨んだが、決定的なヒットは生まれず…。そして7枚目のシングルとしてリリースされたのが「想い出のセレナーデ」(1982年2月)だ。

テコ入れ策として選ばれた作品は、山口百恵ブレイク以前から昭和40年代後半のビッグ3のひとり、天地真理のヒットカバー(1974年)。基本的には美しさとノーブルさを前面に押し出したストレートカバーで、オリコン最高位51位という、これまででいちばん良い結果を収めた。ただしこれが代表曲になりうる決定打になったかと問われれば… もちろんそうは言い難かったのが実情。

デビューが40年早かった? 決定的ヒットを生み出すことなく…

時代は1982年春、1980年デビューの同期が高め安定路線に入り、“花の82年組”が続々と世に出始めたころ、美しき浜田朱里は忸怩たる思いを抱いていたことは想像に難くない。続くアン真理子(1969年)のカバー「悲しみは駆け足でやってくる」(1982年)含め、1984年までにリリースされたシングルは、結局鳴かず飛ばずという結果に。そう、浜田朱里はついぞ決定的ヒットを生み出すことなく、80年代半ばに人知れず潰えていったのだ。あの美しい顔に涙を浮かべながら(たぶん)。

浜辺美波の姿をつらつらと眺めながら、「想い出のセレナーデ」が頭の中で鳴る…。浜田朱里の美しい容姿は80年代には相応しくなかったのか、デビューが40年早かったのか… なんて壮大な思いが脳内をぐるぐると駆け巡る。その答えは、神のみぞ知る、なのだろうか。

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※ KARL南澤の連載「80's Idols Remind Me Of…」
80年代の幕開けとともに、新たなアイドルシーンが増幅・形成されていった。文字通り偶像(アイドル)を追い求めた80年代を、女性アイドルと、そのヒットソングで紐解く大好評連載。

カタリベ: KARL南澤

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