MVPのトロフィーから初代コミッショナーの名前を削除へ

全米野球記者協会は日本時間10月3日、アメリカン・リーグとナショナル・リーグの最優秀選手(MVP)に与えられるトロフィーからケネソー・マウンテン・ランディス(初代コミッショナー)の名前を削除することを決定した。2020年シーズンのMVPに与えられるトロフィーは無名となり、2021年以降については同協会が変更を検討している。

同協会のポール・サリバン代表によると、過去のMVP受賞者であるバリー・ラーキンとテリー・ペンドルトンの2人が初代コミッショナーの名前がトロフィーに刻まれていることに不快感を示したという。ランディスは1920年から1944年までの在任期間中、黒人選手がメジャーリーグでプレーすることを許可せず、球界にカラーバリアを築いた張本人と言われている。

ラーキンとペンドルトンのほか、マイク・シュミットも初代コミッショナーの名前をトロフィーから削除することに賛成し、今年7月、同協会の長年のメンバーであるケン・ローゼンタールがこの問題について提案。オンラインでの議論のあと、同協会のメンバーによる投票が行われ、2020年シーズンのMVPに与えられるトロフィーから初代コミッショナーの名前を削除することが決定された。

ランディスはMVPに自身の名前が冠せられることが決定した1ヶ月後、1944年11月に死去。その3年後、1947年に初の黒人メジャーリーガーとしてジャッキー・ロビンソンがデビューしているが、球界のカラーバリアが破られたのはランディスの死と無関係ではないと言われている。シュミットは「野球の歴史のなかで、カラーバリアを築いて人種差別を助長した人物を挙げるなら、ランディスが候補になるだろう」と初代コミッショナーを批判した。

なお、新たにMVPに冠せられる名前についてはすでにいくつかの候補が挙がっており、両リーグでMVPを受賞した唯一の選手であるフランク・ロビンソンのほか、ニグロリーグのスター選手だったジョシュ・ギブソン、カラーバリアを破ったジャッキー・ロビンソンなどが含まれているようだ。

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