「犠牲になるのは子どもたち」 写真家・石川文洋さん講演 福島や沖縄活写

旅を共にしたカメラを手に講演する石川文洋さん=横浜市中区のニュースパーク(日本新聞博物館)

 ベトナム戦争の従軍取材で知られる写真家・石川文洋さん(82)の講演会が3日、横浜市中区日本大通のニュースパーク(日本新聞博物館)で開かれた。この日から始まった同館の企画展「80歳の列島あるき旅・石川文洋写真展 フクシマ、沖縄…3500キロ」の開幕を飾るイベント。「旅の間は朝から晩まで自由な時間だった」といった話に約50人が聞き入った。

 共同通信社と同館の主催。石川さんは2018年から11カ月間を費やし、北海道から沖縄までを徒歩で縦断した。東日本大震災や阪神大震災などの被災地や、郷里でもある沖縄県の米軍基地を訪問。記録した写真は約3万5千枚に上るという。会場にはそのうち約240枚が展示されている。

 福島県浪江町で撮影した人けのない街の写真を投影し、石川さんは「原発事故でも戦争でも、犠牲になるのは民間人、特に小さな子どもたちだ」と強調。基地建設が進む沖縄県名護市辺野古の写真を解説する際には、4年間滞在した戦争中のベトナムを振り返り「沖縄から飛んだB52爆撃機がベトナムの子どもたちを殺す場面を見た」と語った。

 東京都杉並区在住の中学教員の男性(71)は「訪ね歩いた各地に戦争や災害の痕跡が感じられ感銘を受けた」と話していた。

 企画展は12月20日までで午前10時~午後4時半、月曜休館(11月23日は開館、同24日休館)。入館料は一般400円。新型コロナウイルスの感染防止のため予約制となっている。問い合わせは、同館電話045(661)2040。

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