「ポーズをとってデザインし、空気を抜いて持ち運ぶ」パーソナルモビリティ開発

乗るポーズをとるだけで設計することができる風船構造のパーソナルモビリティを、東京大学と株式会社メルカリの研究開発組織「mercari R4D」の研究者らが開発した。

近年、電動スクーターや電動立ち乗り二輪車など、一人乗りの移動手段であるパーソナルモビリティが数多く登場している。しかし、そのほとんどは重くて大きく、使っていない時の置き場所や持ち運び方法が課題で、個々人に合わせたカスタマイズも難しかった。

今回開発された新しいパーソナルモビリティpoimo(ポイモ:POrtable and Inflatable MObility)は、車体から車輪まで多くの部分がインフレータブル構造と呼ばれる空気圧で支えられた風船のような膜構造で構成されているため、空気を抜いて折りたたむことができる特徴を持つ。軽くてやわらかいが、高強度な「ドロップスティッチファブリック」という布と樹脂の複合素材でできているため、人間の体重を支えられる強度を備え、簡単にはパンクしない。風船構造の特性を活かして、普段は小さくたたんでしまっておき、必要な時に取り出して膨らませるという、これまでにない新しい使い方ができるパーソナルモビリティだ。

さらに、ユーザーが自分の身長や姿勢に合わせた大きさと形状の乗り物をデザインできるよう、専用ソフトウェアも開発された。欲しい乗り物をイメージしながら、それに乗るポーズをとるだけで、ポーズに合わせた形状・大きさの乗り物が自動設計されるといい、提案されたデザインを元にカスタマイズも可能。本研究者たちは、この手法を用いて、軽くてやわらかい電動バイク型と手動車いす型のpoimoを複数台試作した。

専門家でなくても乗り物を簡単にカスタムメイドすることを可能にし、たたんで持ち運べるパーソナルモビリティの新分野を開拓した本成果は、誰もが自分に合った移動手段を獲得できるインクルーシブな社会の実現に貢献すると期待される。

参考:

【科学技術振興機構】ポーズをとるだけでカスタムメイドできる風船構造モビリティを開発 ~たたんで持ち運べる自分だけの乗り物~ (PDF)

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