目立たぬ交番、防犯に不安 地元住民から移設の声

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住民から移転を求める声が上がっている野村交番=高岡市野村

 8月に富山県高岡市野村地区で殺人事件と死体損壊事件が立て続けに発生したことを受け、地元住民の間で高岡署野村交番の移設を求める声が強まっている。交通量の多い主要道路から離れた住宅街にあるため、多くの住民が「防犯に効果的なのか。不安」と言う。県警は「要望は重く受け止める。ただ、他に老朽化が進んでいる交番もある」としており、予算や建設地の確保など課題は多そうだ。(正橋悠、市江航大)

 「今の交番は場所が分かりにくい。住民の安全安心のため、大通り沿いへの移転は不可欠だ」。野村地区連合自治会の大庭和之会長(69)はそう強調する。

 野村地区は東西2キロ、南北5キロのエリアで、高岡市内の小学校区では最も多い人口約1万8千人を抱える。宅地開発が進められ、商業施設も多く立地する。

 野村交番があるのは、国道8号から1.2キロ、県道富山高岡線から500メートルの地点。主要道路から脇道に入った住宅街の一角に建つ。建物は周囲の住宅より小さく、少し離れると隠れてしまう。同連合自治会は、多くの人の目に止まりやすい幹線道路沿いへの移転を、5年ほど前から県や県警に要望してきたという。

 交番の近くに住む野村第三自治会の川端聰会長(73)も「少しでも離れた場所に住んでいる人だと、どこにあるか分からない。もっと適切な場所があるのではないか」と語る。

 移設要望が一段と強まった背景には、住民の治安悪化への不安がある。野村地区では8月、マンションで女性遺体の一部が焼かれる死体損壊事件が発生。約1週間後には、アパートで女性が絞殺される殺人事件が起きた。2013年には会社役員の男性が自宅で殺害された事件もあり、未解決のままとなっている。

 殺人事件の現場近くに住む男性会社員(57)は「アパートが増え、地域のつながりが薄くなる中で物騒な事件が連続し、住民は不安を感じている」とし、交番について「目立たないし何かあっても利用しづらい。犯罪抑止に役立っているか疑問」と話した。

 県議会の9月定例会では、同市選出の瀬川侑希県議が野村交番の移設の必要性を指摘。大原光博県警本部長は、「耐用年数が著しく超過している他の交番とのバランスも考慮し、今後の検討課題としたい」と答弁した。

 県警は交番の耐用年数を踏まえて建て替えを検討する。地域企画課によると、野村交番は1986年3月に設置された。耐用年数は41年で、残り7年という。同課は「県内55交番のうち、3分の1は耐用年数を既に超えている。事件や事故に素早く対応できる場所を、どう確保するかも課題」としている。