命を救う。アメリカのプロジェクト「;」 メッセージを込めたセミコロンとは?

アメリカで数年前からじわじわと流行りはじめた「;」のタトゥー。この二つの点からなるマークは英語の句読点のひとつ、「セミコロン」(semicolon)だ。このマークを身体に彫っている人が増えているが、このデザインが人気なのではなく、「セミコロンを身体に彫ること」がメッセージなのだという。

ムーブメントを牽引する「プロジェクト・セミコロン」

身体にタトゥーを彫る人が多いアメリカでは、様々なデザインのタトゥーを見ることができる。ドクロや花、アニメのキャラクターなどのワンポイントから、絵画風のカラフルで大柄のデザインやメッセージ文字など個性豊かなタトゥー柄が溢れる中、小さなふたつの点のような「;」、つまり「セミコロン」を腕や手首、首などに彫っている人が目に着くようになった。

セミコロンは英文法の句読点のひとつ。句点の「.」(ピリオド)とも、読点の「,」(コンマ)とも異なり、セミコロンは2つの文を繋ぐ際に接続詞的または文章の区切りとして使われる。単語ではないため、それ自体は意味を持たないが、「繋がっている文章の区切り」として使用されるセミコロンを人生に置き換えて、この「セミコロンのタトゥーを入れること」自体にメッセージを含んだムーブメントがある。

そのムーブメントを牽引するのが、2013年に立ち上げられたプロジェクト・セミコロンだ。彼らがセミコロンに込めたメッセージとは、「思い悩んだ人生に区切りをつけて、再出発を計ろう」ということ。アメリカには、鬱病や精神疾患、自傷行為にを悩まされている人々が大勢いるが、そんな彼らが自分自身に対して、もしくは彼らの再出発を支援する人たちによるメッセージであり、リマインダーでもあるという。

セミコロンが伝えるメッセージは、「生きる」

「プロジェクト・ セミコロン」では、「自殺は防ぐことができる」、言い換えれば「救える命である」という理念のもと、寄付やファンド・レイジング、有名企業からのスポンサーシップで資金を集め、啓蒙活動を行うことで、社会の理解を深め、助けを必要としている人々や最愛の人、家族などを自殺で失った人へ適切な支援をする活動を行っている。

「プロジェクト・ セミコロン」では、「自殺は防ぐことができる」、言い換えれば「救える命である」という理念のもと、寄付やファンド・レージング、有名企業からのスポンサーシップで資金を集め、啓蒙活動を行うことで、社会の理解を深め、助けを必要としている人々や最愛の人、家族などを自殺で失った人へ適切な支援をする活動を行っている。

アメリカで人気の女優兼歌手のセレーナ・ゴメスがエグゼクティヴ プロデューサーを務める、米ネットフリックスのドラマ「13 Reasons Why」の番組内で、主役がセミコロンのタトゥーを入れていることが注目され、彼女自身もインスタグラムにて自身のセミコロンのタトゥーを披露したことから、この「プロジェクト・セミコロン 」にスポットライトが当たった。

「プロジェクト・セミコロン」は、団体を開設してからこれまでに約520万人もの人を救ったと発表している。セミコロンのタトゥーを入れた人は、一見するとトレンドのデザインを身体に入れているだけに見えるが、彼らはこの活動やメッセージに対する賛同者だ。これは、社会で光が当たりにくい問題に対してヒューマニティーに溢れた地道な活動がトレンドに発展した注目すべき事例といえるだろう。

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