ヤディとウェイノが契約満了 両ベテランの決断を待つカージナルス

パドレスのワイルドカード・シリーズに敗れて2020年シーズンの戦いを終了したカージナルスは、一つの時代の終わりを迎える可能性がある。2004年にメジャーデビューし、2005年から不動の正捕手として活躍してきたヤディアー・モリーナが初めてフリーエージェントとなるのだ。過去2年間、いずれも1年契約で残留したアダム・ウェインライトも再びフリーエージェントとなり、常勝軍団を支えてきた両ベテランが同時にチームを去る可能性もある。両ベテランの去就には大きな注目が集まりそうだ。

「セントルイス・ポスト・ディスパッチ」のデリック・グールドによると、カージナルスは両ベテランの決断を待っている状況だという。両ベテランはいずれもカージナルスとの再契約に興味を示しており、2人とも残留する可能性は十分にある。しかし、グールドは「モリーナとウェインライトはセントルイスで成し遂げられることをほぼ達成した」と述べ、両ベテランが揃って別のチームでプレーすることを選択する可能性があると指摘している。

モリーナは2004年、ウェインライトは2005年にメジャーデビューし、カージナルスが21世紀に入ってから負け越したシーズンは2007年(勝率.481)の1度だけ。両ベテランは毎年のように優勝争いに加わってきたカージナルスの「勝利の伝統」を象徴する選手であり、両ベテランが同時にチームを去るようなことがあれば、カージナルスの「文化」に大きな影響を与えることになるだろう。マイク・シルト監督は「来年の春季キャンプに両ベテランが戻ってきてほしい」といった趣旨の発言をシーズン中から繰り返していた。

すでに38歳となったモリーナだが、通算2000安打を達成し、盗塁阻止率45.5%を記録するなど正捕手としての存在感に衰えは見られない。後継者と目されたカーソン・ケリーはすでにトレードでダイヤモンドバックスへ放出され、25歳のアンドリュー・キズナーが着実に成長しているとはいえ、モリーナが残留すれば来季もカージナルスの正捕手はモリーナだろう。

チームで唯一規定投球回に到達し、チーム最多の5勝をマークしたウェインライトも、39歳の誕生日に完投勝利をマークしたように、まだまだチームに必要な戦力だ。今季は絶対的エースへの成長を期待されたジャック・フラハティが足踏みし、ダコタ・ハドソンはトミー・ジョン手術を受けて来季の登板が絶望となっているだけに、一定の働きを計算できるウェインライトはカージナルスに必要な戦力と言える。

球団側の立場から見れば、両ベテランが来季もチームに必要な存在であることは間違いない。球団史に残るフランチャイズ・プレーヤーであることを考えても、両ベテランが残留を希望した場合、球団は両ベテランを納得させられるだけのオファーを提示するはずだ。全ては両ベテランの決断にかかっている。

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