なぜ? 外来チョウが… 三浦半島で大量発生の謎

荒崎公園で見られたオスのクロマダラソテツシジミ=横須賀市長井

 主に南アジアから東南アジアに生息しているシジミチョウ科のチョウ「クロマダラソテツシジミ」が9月から三浦半島で大量発生している。半島内数カ所のソテツのある場所などで確認されているが、関東地方南部での大量発生は11年ぶりとみられる。愛好家らは「生息域を広げるための北上ではないか」と想像しながら観察や調査を続けている。

 クロマダラソテツシジミは羽を広げた状態で2.5~3センチほどで、オスは羽の内側全面が鮮やかな青紫色であることが特徴だ。ソテツの葉に産卵し、幼虫がその葉を食べて育つためにソテツは荒らされてしまい、害虫として扱われてしまう側面もある。

 愛好家グループ・三浦半島昆虫研究会でチョウの生態を調べているメンバー(73)によると、県内ではここ数年散発的に見られることがあったが、大量発生は2009年以来とみられるという。今年は荒崎公園(横須賀市長井)や観音崎公園(同市鴨居)などで、多い時には1カ所で同時に20匹以上が確認されたという。

 元々温暖な地域に生息するため、日本では冬を越せない。寿命も短く、産卵から2カ月ほどしか生きられない。そのため、三浦半島で見られるものは、春以降にフィリピンやベトナムなどを発ち、北上する中で生まれた「少なくとも3代目以上の子孫」(同メンバー)とみられるという。

 メンバーは、クロマダラソテツシジミの北上には温暖化が影響し、従来の地域に加えて生息域を広げようとしているとみている。「気候に順応し、越冬できるような体質になるために北上を繰り返しているのではないか」と話した。

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