市議の発議で、選択的夫婦別姓導入の意見書を国会へ送るまで(総社市議・山田雅徳氏ブログ)

岡山県総社市の山田雅徳市議自身のブログで、「選択的夫婦別姓制度の導入」の議論を国会に求める意見書を議会に提出し、可決され国会に送ることになるまでの経緯を解説しました。

(山田氏のブログ全文は以下の通り)

議員発議で「選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書」を国会へ【岡山県2例目】

8月31日~9月24日までの会期だった令和2年8月定例総社市議会が閉会しました。

今議会では、「選択的夫婦別姓制度の導入」の議論を国会に求める意見書を議会に提出。
議員提出議案の提出者として、「本会議での提案理由の説明、担当委員会での説明員」と、議員活動3年目で多くの初挑戦を経験することとなりました。

地方から国会へ「意見書」を届けるルート

地方の声を国会へ届けるには様々なルートがあると思います。
地元選出の国会議員にお願いするのもアリです。

違うルートとして、地方議会での議決を経て「意見書」を国会へ届ける。
という手もあります。「請願・陳情」って方法です。

総社市議会HP「請願・陳情」より
請願・陳情とは?
市の行政に関する意見や要望があるときは、どなたでも請願書・陳情書を市議会に提出することができます。
議員の紹介があるものを請願書ないものを陳情書と言います。
提出された請願書は、議長が受理し、その後、定例会で関係する常任委員会や議会運営委員会に付託し、最終的に本会議で採決し、議会としての結論を出します。審査結果が確定すると、議長はそれを請願者に通知します。
採択したものは、必要に応じて国、県等の関係機関に意見書を提出します。
市民の方が持参された陳情書については、総社市議会では、請願書と同様に取り扱いますが、郵送及び市外の方が持参された陳情書については、原則全議員に写しを配布しています。

※他の議会がどうかわかりませんが、総社市議会の場合「市外の方の陳情書」は全議員に配布して「こんな声があるよ」で終わる可能性があります。

請願・陳情の手続きの流れ(画像は芦屋市議会HPより)

↑が一般的な方法だと思います。ですが、今回はさらに別のルートを選びました。

議員発議による議員提出議案

「議員ならば、自分で議案をつくって議会に上程できるよ」と天の声(ちょっと前に解党したウサギがトレードマークの政党)を聞き、先輩議員(他党に所属)に相談。二つ返事で賛同をいただき、僕が提出者。先輩方が賛同者ということで議案を提出しました。

提出した議案「議案乙第4号」です

 

議案が可決するまでの「僕の出番」

①議案の文面、意見書(案)の文面を作成。議会事務局のチェックを受けた後、正式に議案提出。

②議会開会日(初日)に議案の提案理由の説明

③議案を付託された委員会で、説明員として出席
 委員(同僚・先輩議員)からの質疑に答える。(…ために、何日も前から想定問答集をつくる)

④議会閉会日(最終日)の本会議での採決。起立採決なので、賛成の起立をしました。

①~④の期間中、同僚・先輩議員と議案について議論。(←休憩中、食事中、移動中)

議案乙第4号、提案理由の説明の内容を紹介します

ただいま議題となりました、議員提出議案「乙第4号」につきまして、提出者を代表して提案理由の説明を申し上げます。

内容につきましては別紙の案文をご覧いただけたらと思いますが、この選択的夫婦別姓制度とは、従来の夫婦同姓に加え、夫婦別姓も選べる制度。

必ずしも夫婦別姓「推進」ではなく、困っている人が選択できる。男女の結婚において、誰もが平等に「幸せのカタチを選べる社会にしよう」という趣旨であることを、予めご理解いただきたいと思います。

家族の多様化が進む中、旧姓を通称使用する人や、事実婚を選択するカップルも少なくありません。

ですが、旧姓の通称使用や事実婚では解決できない問題も多くあります。

別々の姓を名乗りたいという場合に、別々の姓を名乗ることもできるようにしようという、「選択肢を増やすための」法改正です。

これまでどおりの「同姓婚を望む人」に対し、不利益や不都合を与えるものではありません。

議案乙第4号「選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書」については、国会及び政府に対し、選択的夫婦別姓制度を導入するよう、地方自治法第99条の規定により、別紙のとおり政府等、関係方面へ意見書を提出しようとするものであります。

以上、議員各位の満場のご賛同を賜りますよう、お願いを申し上げまして、提案理由の説明といたします。

気になる結果は?

委員会:賛成多数で「原案を可決するべき」と決定→本会議へ
本会議:賛成多数で「可決」

「議案乙第4号『選択的夫婦別姓の導入を求める意見書』について」は可決されました。
近日中に、総社市議会から国会に対し「意見書」を送付することとなります。

初挑戦の議案提出、お世話になりました

・(9月11日に解党した)僕が先日まで所属していた「(旧)国民民主党」では、全国の地方議会で「選択的夫婦別姓制度の導入」にむけて行動を起こそう!と多くの仲間が取り組みました。党本部でも多くの集会、勉強会が開かれました。

・議案提出にあたり、賛成者として名を連ねていただいた先輩議員。委員会・本会議での採決で、賛成の意思を表明していただいた同僚・先輩議員。残念ながら賛同いただけなかったけど、真剣に議論してくれた同僚議員。

・「選択的夫婦別姓制度の実現」を希望している「生の声」をお聞かせいただいた、「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」の皆様。(今回の記事のサムネイル画像に団体HPのトップ画像を使わせていただきました)

ゴールじゃなくて、スタート

「選択的夫婦別姓制度の導入を求める」意見書は総社市議会から国会へ送られることが決まりました。

ですが「議論のボールを国会にパスして、これで僕らの仕事は終わり?」ってことにはなりません。

これからも議会や地域、いろんな場で、もっと夫婦別姓・事実婚・通称名使用などについて勉強会を開いたり、議論を続けたいと思っています。

市議会議員に立候補したとき、政策・決意の柱として「一人ひとりが、かけがえのない個人として尊重され、多様性を認めつつ互いに支え合い、すべての人に居場所と出番がある、強くてしなやかな共に生きる社会。」を掲げました。

残る任期もあと1年。初心を忘れず頑張ります。

ーーー総社市議会議員 山田雅徳ーーー

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