「法を侵す暴挙」 日本学術会議の任命拒否問題  市民らが首相官邸前で抗議デモ

首相官邸にプラカードを掲げて抗議する市民ら=東京都千代田区

 菅義偉首相が日本学術会議の新会員候補6人の任命を拒否したことに抗議するデモが6日夜、東京・永田町の首相官邸前で行われた。学者や野党議員も駆け付け、任命されなかった小沢隆一・東京慈恵会医科大教授(憲法学)は「法を侵す暴挙で国民全体にかかわる問題だ。国民の代表である国会議員が徹底的に追及してほしい」と訴えた。

 小沢教授は、政府が任命権の根拠に公務員の選定罷免権を持ち出していることに「この権利は首相や行政府のものではなく国民のもの。国政自体が国民のものだからだ。天皇の下に行政府があった戦前とは違う」と指摘。日本学術会議法が定める通り、推薦に基づき任命するのが首相の責務とした上で「学者が政府から独立して意見してこそ国民の幸せは実現する。国民主権に基づく公務員の選定罷免権を政府に渡してはならない」と訴えた。

 立憲民主党や共産党などの国会議員や平和団体メンバーらもスピーチ。「安倍晋三前首相と二人三脚で憲法や行政を私物化してきた菅氏が学問まで私物化しようとしている」「学問の独立は戦争利用への反省から。政府の介入は戦争にひた走った戦前と同じだ」などと断じた。デモは「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」が主催し約700人が参加した。

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