FacebookがNetflixドキュメンタリー”The Social Dilemma”に抗議声明-実際に観た感想

Netflixで配信中のオリジナルドキュメンタリー『The Social Dilemma(邦題:監視資本主義デジタル社会がもたらす光と影)』。皆さんはもうご覧になりましたでしょうか?GoogleやFacebookを始めとするアメリカのテックジャイアントによって、人間の生活が操作され始めていることを批判したこのドキュメンタリーは先月配信がスタートし、今話題の1本となっています。

 

Facebookが抗議声明を発表

意外なことに、この作品に対しFacebookが公式に抗議声明を出しました。内容概略は以下の通りです。

1.Facebookのサービスは、中毒性ではなく価値のあるつながりを生み出すことを重要視しているます。

2.Facebookはユーザーの情報を誰にも販売していません。

3.アルゴリズムが陰謀的な悪者として描かれていますが、アルゴリズムが無ければエンタメ性が失われはるかに面白くありません。

4.Facebookは企業との個人情報のやり取りに厳格なポリシーを定めています。

5.Facebook上の圧倒的多数のコンテンツは二極化されていないし、政治的でもありません。

6.映画では2016年以降Facebookが実施してきた、政治干渉のための利用を防ぐ取組みを省略しています。

7.Facebook内で誤った情報が広がることを容認し、そこから利益を得ているという推測は間違いです。

Facebookの公式声明文はこちら(英語)

 

ドキュメンタリーはテックジャイアント企業とそのサービス、主にGoogle・YouTube・Facebook・Instagram・Twitter・Pinterest・Snapchat・Redditを中心に、元従業員や投資家・専門家へのインタビューを軸にして話が進んでいきます。大手IT企業がいかにユーザーの時間を搾取し、データを利用しているかという舞台裏の証言に加え、架空の再現ドラマを通し、私たちの生活がこれらのプラットフォームによって気づかない間に操られていることに警鐘を鳴らしています。

証言に登場する企業名は多々ありますが、その中でもFacebookは特に言及が多く、やり玉に挙がっている印象はありました。なのでFacebookがこれに反応を示したことは1つの防衛策と言えますが、逆にこういう声明を出すことで返って人々の興味をあおり、視聴を増やすことにもなります。それでもこのようなアクションを起こしたということは、すでに看過できないレベルの影響、つまりユーザー離れが起きていたのでは?という指摘もあります。

 

実際に観てみた感想・レビュー

全体的に分かりやすい解説で、1時間半のマジメなドキュメンタリーですが無理なく観終えました。個人的に面白かったのは、擬人化されたAIたちがユーザーにどういう行動を取らせるか話し合って決めるシーンです。AIが人だったらこんな感じなのでしょうね。

また日本語のタイトル『監視資本主義』ですが、各IT企業が裏でデータを収集していることはほぼ周知のことであり、問題はそれにより知らず知らずのうちに人の行動や思想がプラットフォームによって誘導され操られているということなので、ちょっとニュアンスが違うかなと感じました。

 

「ソーシャルメディアはドラッグと同じ」

専門家のこの言葉は印象的でした。人間は本能的に繋がりを求める生き物であり、たくさんの“いいね”をもらったりフォロワーが付くことは麻薬のような快感がある。このような人の習性を利用して、大手テック企業はユーザーがもっと長くプラットフォームにとどまるよう工夫し、シェア=ユーザーの時間を奪い合い、巨額の利益を得る。ドキュメンタリーの最後でも、現在はテクノロジーの進化に法律が追い付いていないために、これらのテック企業が際限なく金儲けに走る状況が問題であり、規制が必要だ、ということで結論づけられています。日本ではSNSと言うと匿名性と中傷問題ばかりが取り上げられている印象ですが、それらも含めた法整備の議論はどこの国でも急務であると感じました。

それにしても、テクノロジーの恩恵を受けているであろうNetflixがこのドキュメンタリーを制作したことは皮肉な話です。

 

予告編動画:『The Social Dilemma(邦題:監視資本主義デジタル社会がもたらす光と影)』(英語)

 

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