オンライン結婚式じわり コロナ禍、普段着で祝福/「投げ銭」プラン

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ノートパソコンに向かい、オンライン招待客に手を振る遵子さん(手前)たち(光神精一写真事務所提供)

 本来なら結婚式シーズンの秋だが、新型コロナウイルス禍で中止や延期が相次ぐ。そんな中、「オンライン結婚式」がじわり広がっている。密を避けられるだけでなく、ご祝儀や引き出物、画一的な進行といった従来の「常識」にとらわれずに式や披露宴を催せることも、カップルに受け入れられているようだ。新たな婚礼スタイルを探った。

 大安の9月20日、広島市東区の鶴羽根神社に隣接する料亭「二葉」であった披露宴。新郎新婦が座る高砂席にノートパソコンが置かれていた。画面上には、笑顔でお祝いのメッセージの紙を掲げる友人たち。新郎の久保田勝彦さん(43)と新婦の遵子さん(34)は画面に手を振って応えた。

 夫妻は当初、通常の結婚式を予定していた。しかし7月に招待状を出したところ、コロナ禍の影響で欠席の連絡が相次いだ。そこでオンラインを導入することにした。

 出席は近くで暮らす親族たちにとどめ、関東の友人や感染リスクを懸念する妊婦、看護師たち約20人はビデオ会議アプリで「招待」。オンライン招待客からのご祝儀は遠慮し、引き出物もやめた。服装も気を使わないよう伝え、多くの招待客が自宅などからTシャツやパーカ姿で2人の門出を祝った。

 遵子さんが両親に感謝を伝える場面では、涙ぐむ友人たちの姿も画面上で見られたという。遵子さんは「オンライン参加の人も近くにいてくれるような気持ちになり、感動した。披露宴の中止も考えたけど、やって良かった」。

 感染拡大の影響が直撃したウエディング業界。業者は工夫を凝らし、さまざまなプランを展開している。例えば、披露宴会場での楽しみの一つである食事。グランドプリンスホテル広島(南区)は9月から、オンライン招待客が東京や京都の系列ホテルで会場と同じ料理を楽しめるプランを始めた。首都圏などではケータリング会社と連携し、招待客の自宅へ料理を届けるプロデュース業者もある。

 ご祝儀に代わるユニークな取り組みも。ウエディング事業を展開するリクシィ(東京)は、クレジットカード決済で100〜数万円を新郎新婦に送金できる「投げ銭」の機能をプランに付けた。広報担当の佐志知世さん(30)は「オンラインだからこそできる新たな発想」と強調する。

 式や披露宴の多くは週末に開かれる。ご祝儀などの金銭面も含め、親類や友人を招くことに負担を感じるカップルもいる。広島ビューティー&ブライダル専門学校(南区)の渡辺亜子教務主任(32)は「ネット環境があれば、誰でもどこでも特別な一日を共有できる。オンライン結婚式は今後、オプションの一つとして広がっていくのでは」とみる。(藤田龍治)