コロナとインフル同時流行に備え 県が患者対応モデル発表

 新型コロナウイルスが収束の見通しが立たない中、県は8日、季節性インフルエンザの流行期に備えた発熱患者対応の「神奈川モデル」を発表した。県医師会(菊岡正和会長)、県病院協会(新江良一会長)と連携して、地域や医療機関の実情に合った検査・診療体制の確立を図る。

 3者は同日、インフルエンザ流行期の発熱患者診療体制を構築することで共同宣言を締結。県は受診調整の支援、県医師会は診療機関の確保、県病院協会は救急診療と入院病床の確保を手掛ける。

 インフルエンザと新型コロナの診療・検査では、いくつかのパターンがある中で、県独自のものとして医師が判断し必要に応じて新型コロナに対する検査をする仕組みを導入。発熱などの症状で受診した場合、検査ありきではなく、医師が新型コロナの可能性が高いと判断したケース以外は通常のインフルエンザや風邪の治療を施し、改善しない場合に検査を実施するという。

 同時流行への対策としては、厚生労働省が9月4日に受診手続きの変更について都道府県に通知しているが、菊岡会長は「保健所が担ってきた役割を地域のかかりつけ医に丸投げした案。医療機関の負担を大幅に増大するため看過できない」と批判。「神奈川モデルは地域や現場の実情を反映した形で、発熱難民をつくらず地域医療を支えていく」と語った。

 発熱外来に対応する医療機関数は未定とし、県が各地域の医師会などに説明して参加を広げていく。

 インフルエンザワクチンの接種では、65歳以上の高齢者など必要な人が接種できるよう、県と各市町村が連携して提供する。

 黒岩祐治知事は「ワクチンの供給量は十分あるが、11月の早い時期までに集中すると一時的に不足する可能性があり、慌てずに接種してほしい」と呼び掛けている。

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