10月1日、東京が対象に加わり、地域共通クーポンの配布も始まった「GoToトラベル キャンペーン」。利用者が急増し、“使った者勝ち”の様相を呈しています。自治体独自の補助や各種クーポンも配布されているため高級温泉旅館に格安で泊まれるのはもちろん、ほぼワンコインでホテルに宿泊できるケースもでてきています。
すでに補助が終了したり、旅行商品の販売が終わったりしたものが出てきています。年末年始の利用を考えている人は、早めに予約した方がよさそうです。
このキャンペーンをうまく使えたとして、実際はどの程度お得なのでしょうか?
ようやく東京都でも始まったGo To トラベル
まず、キャンペーンの概要をおさらいしましょう。GoToトラベルは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で落ち込んだ観光業への支援を目的とした国の事業です。
7月22日から「国内旅行代金の35%割引」、10月1日からはさらに「旅行代金の15%相当分の地域共通クーポン付与」が始まり、最大で旅行代金の半額の補助が受けられるようになりました。なお支援額の上限は一人一泊あたり2万円で、利用回数に制限はありません。
国土交通省によると、利用の対象となる商品は、来年1月31日宿泊分まで。しかし、あくまでこれは目安であり、予算がなくなれば終了を発表するということです。
利用客の急減に苦しむ旅行業界では、GoToトラベル開始前からホテルや旅館の料金割引、旅行サイトでの割引クーポン配布、自治体が行う旅行代金の補助など、さまざまな対策が行われていました。これらはGoToトラベルと併用できるものが多く、活用すれば都心のビジネスホテルにも格安で泊まれます。
一泊1,500円?交通費より安くホテルステイ
たとえば楽天トラベルを利用して10月15日に人形町(東京都中央区)で一泊する場合、以下の料金になります(料金は取材時)。
利用ホテル:「ビジネスホテル堀留ヴィラ」
通常代金:2,546円
GoToトラベル割引:732円
「東京都内宿泊施設限定宿クーポン」:454円
合計:2,546円−732円−454円=1,360円
楽天トラベルHPより
利用者の居住地に制限はないため、出張で都内に来た場合はもちろん、都内在住者がリフレッシュのために利用することも可能です。しかも、居住地によっては通勤交通費よりも安くすみます。
たとえば自宅の最寄り駅がJR立川駅だと想定した場合、東京メトロ人形町駅までの交通費は以下の通りです。
立川駅〜人形町駅:片道820円、往復1,640円(JR中央線、中央・総武線、東京メトロ日比谷線利用)
利用路線や定期券の有無によって交通費は上下しますが、このケースでは通勤するよりもホテルに滞在した方が安くなります。片道1時間程度の乗車時間も考慮すると「来週は仕事が忙しいから、会社近くのホテルに泊まろう」という風に日常使いもできます。
なおGoToトラベルの地域共通クーポンは1,000円から交付されるため、今回は対象外です(1360円×15%=204円、1,000円未満は四捨五入のため0円)。
マンスリープランなら家賃よりも安い?
GoToトラベルの活用法はこれだけにとどまりません。さらに進んだ使い方が、ホテルのマンスリープランの利用です。
たとえば東京・神田で、10月15日から30日間ビジネスホテルに滞在する場合、次のような料金で利用できます(料金は取材時)。
利用ホテル:「コンフォートホテル東京神田」
利用プラン:30連泊割引 Monthly stay(朝食付)
通常代金:9,6000円
GoToトラベル割引:3,3425円
「東京都内宿泊施設限定クーポン」:500円
合計:96,000円−33,425円−500円=62,705円
楽天トラベルHPより
賃貸情報サイト「CHINTAI」によると、千代田区にある間取りが1Kのマンションの家賃相場は11万円です。つまり家を借りるよりもホテル滞在の方が約5万円も安くすむのです。ここまでくるともはや「旅行」ではなく「生活」の手段ともいえるでしょう。
地域クーポン併用でワンコイン宿泊も
ここまで東京都内の例をご紹介しましたが、地域によってはもっと高額なクーポンが配布されていて、GoToトラベルとの併用で一泊1,000円以下になることも珍しくありません。
たとえば「じゃらん」を利用し、10月15日に広島市に一泊した場合、料金は次のようになります(料金は取材時)。
利用ホテル:「三井ガーデンホテル広島」
通常代金:5,500円
GoToトラベル割引:1,925円
「広島県内で宿泊代金5,000円以上で使えるクーポン」:2,500円
「三井ガーデンホテル広島対象クーポン」:500円
合計:5,000円−1,750円−2,500円−500円=575円
じゃらんHPより
ほぼワンコインです。漫画喫茶で過ごすよりも、ランチ代よりも安いかもしれません。特に地方では、自治体が独自に高額な宿泊補助をしていることが珍しくないため、高級旅館でも驚くほど安く泊まれることがあります。
補助が終わる?年末年始の旅行予約は早めに
新型コロナウイルスが収束していない現状では、まだ旅行に行くことにためらいがある人も多いと思います。ですがGoToトラベルは正直なところ「使った者勝ち」です。
各旅行サイトのクーポンには枚数に制限があり、「大阪の人・関西の人いらっしゃい!キャンペーン」など、自治体独自の補助もすでに予算に達し、終了しているものが少なくありません。またJR東海ツアーズなどでは、割り当てられた給付金額に達したためにGoToトラベル関連商品の販売を見合わせています。もちろん、GoToトラベルも予算に達すれば終わる予定です。
そのため補助を受けたい場合には、年末年始の旅行など、予定が固まっているものは早めに予約することが肝心です。
自治体独自クーポンも要チェック
予約の際は、まずGoToトラベル以外に割引が適用できないかチェックしましょう。旅行会社や旅行予約サイトには「クーポン特集」などのページがあり、自治体の補助やサイト独自のクーポンがまとめて掲載されています。使えるクーポンの内容は各社・各サイトによって違うので、複数社を比較・検討するのがおすすめです。また自治体独自の補助は各自治体のホームページに情報が記載されていたり、特設サイトが開設されていたりするものもあります。
移動や宿泊は新型コロナウイルスの感染リスクが伴いますが、それでも長期間、外出や移動が制限されて人々の旅行熱は高まっています。GoToトラベルとさまざまなクーポンを活用すれば旅行代金が抑えられるため、普段より飲食やレジャーにお金をかけられるでしょう。
旅行にはためらいがある人は、近場のホテルに泊まってみるだけでもいい気分転換になるかもしれませんね。