カネミ油症発覚から52年 被害の実相、広く社会に 12月に初のオンライン集会

テレビ会議システムを活用し、12月のカネミ油症オンライン集会に向けた話し合いを進める被害者と支援者

 全国のカネミ油症被害者らが、油症や原因物質ポリ塩化ビフェニール(PCB)について考える集会を12月6日、初めてオンラインで開く。集会は、PCBをかつて製造したカネカの大規模工場がある兵庫県高砂市で3年前から開催。今年は新型コロナウイルス対策として会場を同市や被害者が多い五島市など数カ所に分散し、各会場や個人をテレビ会議システムでつなぐ。各地から参加しやすく、被害継続の実相を社会に広める好機にもなりそうだ。
 カネミ油症は、カネミ倉庫(北九州市)製造の食用米ぬか油に、カネカ製PCBやこれが変化したダイオキシン類が混入した国内最大規模の食中毒事件。本県や福岡県に被害者が多く、1968年に新聞報道で発覚してから10日で52年がたつ。患者の子や孫の健康被害も懸念されるなど、残された課題は多い。
 近年、被害者らが注目しているのがカネカのPCB製造責任。汚染食用油という最終製品を製造したカネミ倉庫は民事訴訟で敗訴し患者の医療費などを負担しているが、汚染物質を造ったカネカは救済の枠組みに入っていない。
 これまで集会ではカネカ高砂工業所敷地内のPCB汚泥盛立地を見学したり、カネカ側に対話を求める要望書を提出したりしてきた。4回目の今年は、オンラインで高砂、五島、東京の3会場(福岡、名古屋も検討中)を結び、被害者の講話や意見交換などを行う。個人のオンライン接続も準備を進めている。
 主催団体の一つ、カネミ油症被害者支援センター(YSC、東京)の伊勢一郎事務局長は「コロナ禍でも集会をやめず、カネカの製造責任を問い続けることに大きな意義がある。油症は九州以外での認知度が低い。オンライン開催を、油症を全く知らない人にも現状を伝えるチャンスにしたい」と話す。詳しい参加方法は決まり次第、発表する。

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