FIA、レーシングポイントF1模倣問題を受け、新規制を決定。スーパーライセンス制度改正も発表

 FIA世界モータースポーツ評議会会合が10月9日に開催され、2021年のF1技術規則において、他チームのデザインに関する「リバースエンジニアリングの広範な使用」を禁止するための変更が承認された。レーシングポイントの2020年型マシンRP20に昨年型メルセデスのデザインが取り入れられたことが、今年物議を醸した。

 ルノーが抗議を行った結果、RP20のブレーキダクトの設計方法は違法であるとの判決が下された。こういう問題の再発を避けるため、FIAは規則の変更を行うことを決めた。9日の発表においてFIAは「世界モータースポーツ評議会は、車両の空気力学的表面のデザインのためライバルのデザインのリバースエンジニアリングを広範に使用することを妨げる、2021年技術規則の変更を承認した」と述べている。
 新たな規則では他チームのマシンデザインを模倣するために写真などを利用する技術を使うことが禁じられる。

 FIAが今回発表したいくつかの決定のなかには、F1ドライバーとしての資格を与えるためのスーパーライセンスポイント制度に関する変更も含まれていた。

2020年FIA-F2第10戦ロシア 2位表彰台を獲得した角田裕毅(カーリン)

 スーパーライセンス規則では、対象となる選手権と成績によって与えられる点数が定められており、ドライバーは3年の間に40点を獲得することにより、スーパーライセンスを受給する資格を得ることができる。しかしCovid-19パンデミックの影響を考慮し、FIAは対象期間を変更することを決めた。

 新規則では、「2020年を含む4年間のうち最も多くポイントを獲得した3年分のポイント蓄積が考慮される」という。また、自身が制御できない状況、不可抗力などによって40点を獲得できなかったドライバーについては、FIAが検討し、チャンスを与える可能性がある。しかしこの新レギュレーションが適用されるのは、30点以上を獲得し、シングルシーターカーで一貫して卓越した運動能力を示してきたドライバーでなければならない。

 今回の会合ではさらに、2021年からのチームの参戦契約である新コンコルド協定の最終承認も行われた。また、評議会は、ステファノ・ドメニカリのF1新CEOおよびプレジデント就任決定を祝い、現チェアマンおよびCEOのチェイス・キャリーの貢献に感謝の言葉を贈った。

© 株式会社三栄