完全フラットで車中泊、日産のミニバンをもとに開発「マルチベッド車」3台

まだまだ気が抜けないコロナ禍において、三密を避けられる観点から再度クルマに注目が集まっています。その中、行楽シーズンを迎え、人気の「車中泊」に対応するクルマとしてオーテックがミニバンをベースに開発したのが「マルチベッド」シリーズです。


カスタマイズのプロ企業が手がける

今回紹介する「車中泊」モデルは日産の関連会社である「オーテックジャパン」が手がけました。同社は特装車と呼ばれる車両の開発や販売を行う企業ですが、「オーテック」「NISMO」といったブランドのカスタムカーや「ライフケアビーグル」と呼ばれる福祉車両、そして企業からのニーズに合わせたプロ向けの「商用特装車」も設計・製造します。

そしてこれまで蓄積してきたノウハウをこの「車中泊」モデルでもいかんなく発揮したのが「マルチベッド」シリーズなのです。

NV350キャラバン:ベッドだけでなく部屋としても使える

最初に紹介するのは大型商用バンとしてプロの現場でも高い評価を受けている「NV350キャラバン」です。

元々NV350キャラバンは多彩なラインナップを持つモデルですが、「マルチベッド」は5名乗り2列のシート構造とすることで荷室スペースに左右跳ね上げ式のベッドシステムと硬質のフロアパネルを装備しました。

ベッドとしてのサイズは横幅は1,510mmm、奥行きは1,760mmと余裕があります。

またこのベッドは3分割することが出来るのでベッド以外にもベンチとしてアレンジすることができます。つまり、車中泊をする前にアクティビティを楽しむ際の休憩スペース、つまり部屋としても使うことができます。さらにオプションの可倒式テーブルを設置すれば食事のほか、仕事だって行うこともできます。

ベッドの真ん中を外せばベンチとして休憩時などに使うことができます

多彩なアレンジによりベッド自体も荷室の両サイドに折りたたんで格納できますので普段は多くの荷物を積載することも可能です。

このほかにもウェットスーツなどを掛けたりすることができる「サイドマルチパイプラック」などのオプション類も充実しています。

車両価格は340万3,400円からになります。

セレナ:人気のe-POWERも選べる

人気のミニバンであるセレナにも「マルチベッド」が設定されます。

他車同様3列目シートをレス構造にしてベッド&大型のラゲージスペースとして使います。ガソリン車の場合は5名乗車ですが、人気のe-POWERは元々2列目がキャプテンシートだったので乗車定員は4名となります。

セレナは大きな開口部とベッドが魅力。ベッド下にも高さ395mmの荷室スペースがあります

セレナのベッドシステムはNV350キャラバンのように荷室の左右に格納することはできませんが、折りたたんで積載できます。さらにベッドマットは合板とウレタンを組み合わせた構造とすることで耐久性や軽さも実現しています。

完全フラットになるベッドのサイズは幅が1,310mm、奥行きは2,150mmと大人がゆったり寝られる寸法。またユニークなのは元々セレナに付いているデュアルバックドア(ガラスハッチ)の開口位置がちょうどベッドの座面とピッタリ合います。つまりベッドに横たわった状態でガラスハッチを開ければ外の空気を取り込みながら開放感を味わうことができるのです。

車両価格は323万1,800円からになります。

NV200バネット:手軽に車中泊を楽しむならこれ

NV200バネットは5ナンバーサイズでありながら多くの荷物が積載できるクルマで、バンの他3列7人乗りと2列5人乗りのワゴンが設定されています。

マルチベッド仕様はこの2列5人乗りのワゴンをベースに開発。ベッドは2列目シートを倒し、荷室側に格納されたベッドユニットをつなげることで完成します。幅は1,270mmで奥行きは1,720mmになります。

ベッドユニットは左右に格納できるのでワゴンとしても実用性は十分高いのが特徴です

ベッドユニットは自体は左右への跳ね上げ式を採用しているので折りたためば5名乗車+フラットな荷室が完成します。またフロアパネルにはロンリューム(ビニル床)を使っているので撥水性にも優れており、汚れても拭き取りが楽に行えます。

車両価格は262万4,600円からになります。

普通の感覚で買えるのが魅力

今回紹介した3台はボディサイズはもちろん、搭載するエンジン等も異なりますので家族構成や車中泊だけでなくどのようなアクティビティを楽しむか、でクルマ選びも変わってきます。

また冒頭に述べたように特装車という立場から何か特別な出費が必要なのか、という心配をしてしまいそうですが、普通に日産のディーラーで購入できますし、ローン等も組むことができます。

ミニバンは便利だけど実際7人乗せたことがない。それならば沢山の荷物や車中泊のための専用開発されたベッドを搭載したクルマのほうが実は使い勝手の面でも優れている場合もあります。

車中泊や安全な移動のためのモビリティとしてもきめ細かいニーズを盛り込み「あると実は便利」に特化したのがオーテックの特装車の魅力と言えます。

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