2020年F1第11戦アイフェルGPの金曜日会見は、ホンダF1の山本雅史マネージングディレクターらが出席した会見とは別に、フェラーリのマッティア・ビノット代表、メルセデスのトト・ウォルフ代表、ルノーのシリル・アビテブールマネジングディレクターによる記者会見も行われた。
もちろん、この会見でも話題に上がったのは、どのメーカーが2022年以降、ホンダにかわってレッドブルにパワーユニット(PU/エンジン)を供給するのかというものだった。
まず答えたのが、ウォルフだった。
「答えはノーだ。おもな理由は、我々はすでに2021年から新たにマクラーレンを加え、自らのチームも含めて合計4つのチームにパワーユニットを供給することになっているからだ。ファクトリーでの製造と現場での運用を考えると、5チーム目は我々のキャパシティを超えることになる」
「でも、ヘルムート(マルコ/レッドブル・モータースポーツコンサルタント)はプランBを持っているに違いない。したがって、既存のパワーユニットマニュファクチャラーに頼る必要はないと思うけど」
次にビノットだ。フェラーリは現在、フェラーリとアルファロメオ、そしてハースにパワーユニットを供給している。これは2021年以降も変わりない。ビノットは完全には否定はしなかった。
「現時点では何も考えていないが、もちろん今後、検討する可能性はある。レッドブルが供給について尋ねてくるかどうかによるからね。彼らが素晴らしいチームであることは疑う余地もない。したがって、もし彼らに供給することになれば、それは多大なエネルギーが必要となる。しかも、2022年はもうすぐそこまで来ているから、時間の猶予はほとんどない」
そして、最後にアビテブールだ。2021年からマクラーレンがメルセデスパワーユニットを搭載するため、2022年のルノーは自チームとなるルノーの1チームだけしか供給先はなく、物理的には最も可能性が高いパワーユニットマニュファクチャラーだ。
ただし、ルノーとレッドブルは過去に何度も仲違いし、良好な関係でないまま2018年限りで袂を分つことになったという暗い過去がある。しかし、アビテブールは「我々はレギュレーションに従う」と語り、供給の要請があれば応じると語った。
これはレギュレーションで、供給先が最も少ないパワーユニットサプライヤーが、要請があったチームへの供給が義務付けられているからだ。そして笑ってこう続けた。
「でも、レッドブルからはまだ連絡がない。トト(ウォルフ)が言ったように、彼ら(レッドブル)はプランAあるいはプランBを持っているんだろう。つまり、ルノーのパワーユニットを搭載するというプランはアルファベット順で最も遅いということさ」
果たして、この3人が全員正直に答えているのか。あるいはだれかが嘘をついているのか。その答え合わせは、もうしばらく先となりそうだ。