【“自分たちの普通”が“世の中の普通”になりますように♡】私たち、絶賛社内恋愛中。セクマイ美容師・KAHOAIRIのラブアンドピースな休日 #国際カミングアウトデー #セクマイカップル

LGBTQフレンドリーとして知られる原宿の人気ヘアサロン『Hairsalon BREEN Tokyo』でスタイリストとして働くKAHOさんとAIRIさん。今年一月に交際を始め、間もなく同棲をスタートさせた二人は、“自分たちの普通”が“世の中の普通”にという想いを胸に「KAHOAIRI」としてSNSやYouTubeなどで“セクマイ美容師カップル”のお仕事やプライベートを発信し続けている。
今回は、そんな彼女たちが実際に住んでいるお家に足を運び、出会いからセクシュアリティをオープンにして働く意味、理想の10年後などたっぷりインタビュー♡「KAHOAIRIのハッピーな休日」をテーマに撮影した写真と共にお届け。

―― 晴れた日の休日の過ごし方は?
KAHO:YouTubeの撮影と編集で、ほとんど休みらしい休みを過ごしている感じはしないのですが、作業が早く終わった日はご褒美として新宿で映画を観たり、原宿でお買い物をすることが多いです。そう言えば、最近は映画『窮鼠はチーズの夢を見る』を観にいきました。成田凌さんと大倉忠義さんという人気俳優が主演を務めているだけに、館内にはたくさんのお客さんがいて、LGBTQの存在を映画を通してナチュラルに知ってもらえるのはいいことだなぁと、なんだか感慨深くなったの覚えています。
とあるシーンの「心底惚れるって、その人だけが例外になっちゃうてことなんですね」という台詞には、共感しかなかったです(笑)。

AIRI:仕事の日は疲れてしまいYouTubeまで手が回らないので、休日はKAHOが言ったような過ごし方になりますね。ただ、たまにある連休初日はずっとお家でゴロゴロしていることが多いかも。Uber Eatsでご飯を頼んで一歩も外に出ないなんてことも珍しくないです(笑)。

―― 同棲をスタートさせたきっかけは?
KAHO:単純に「千葉と原宿を往復するAIRIの通勤時間、もったいなくない?」という話になって。まだ付き合い始めたばかりの時、AIRIは実家に住んでいて今後もお互いの家に帰る生活が続くとなると、二人の時間を確保するのが難しいなというのは思っていたんです。それに私はとても寂しがり屋なので、一緒に住んでもらえたら嬉しいなという気持ちもあり、お誘いしてみました。

AIRI:「KAHOと住むの、楽しそう!」という直感に従って早速、母に彼女と同棲することを相談しました。しかし「KAHOさんのこと好きなの?」「好奇心なんじゃないの?」と、思っていたような返事は返ってきませんでした。ただ、その言い方カチンときてしまって「あのね、ママ。今はそういう時代じゃなくて、私はKAHOさんのことを一人の人間として愛しているの!」と相談のつもりが、お説教の時間に(笑)。
結果的には「KAHOさんならいいんじゃない?」とOKを出してくれました。後々聞いてみると母の周りにもLGBTQ当事者がたくさんいてLGBTQコミュニティを尊敬しているものの、娘が子どもを産んで家庭を築く未来を楽しみにしていただけに、語気が強い言い方になっちゃったみたいなんです。もちろん、今はKAHOのお母さんと同じように二人の関係を温かく見守ってくれています。

―― 同棲をして分かった、恋人の新たな一面は?
AIRI:超甘えん坊さんなところ! 仕事中は本当にテキパキしていてクールな印象を受けていたのですが、お家に帰ってくると“フニャン”という音が聞こえてきそうなくらいの脱力感で私にくっついてきます。甘えられるのは大好きなので、その時はKAHOのことをネコのように優しく撫でています(笑)。

KAHO:美容へのこだわりが、とにかく強い。顔のマッサージやストレッチはもちろん、化粧品一つひとつにこだわりを持って使用しているところを見ると凄いなぁと思います。私も感化されて見様見真似でストレッチにチャレンジしてみたものの、全く上手にできず…彼女のレッスンを受けながら、まずは正しいフォームでできるように練習中です(笑)。後は掃除と洗濯が丁寧! 家事に関しては…1:9の割合でほぼAIRIがしてくれています。いつも、ありがとう♡

AIRI:彼女に任せたとしても、私的には気になるところがたくさん目に入ってきて、結果二度手間になるので…(笑)。それに掃除や洗濯をする度に「ありがとう」を伝えてくれる。やってくれることを当たり前だと思わず、感謝の気持ちを忘れずに伝えてくれることが同棲生活が上手くいっているポイントなのかも。食事に関しては全てKAHOがお支払いをしてくれるので、そういった気配りというか、違う部分でバランスを取ってくれようとする心遣いも素敵だなって思います。

―― 先輩・後輩ではなく恋愛対象としてお互いを意識し始めたのは、いつぐらい?
KAHO:お互いの距離がグッと近づいたのは、AIRIがスタイリストデビューしてすぐだから…2019年の年明けぐらいだと思います。それまではお互いにスタイリストとアシスタントという立場の違いもあって、無意識のうちに線引きをして距離感を保っていたような気がしますね。私も必要以上にコミュニケーションを取るような感じではなかったので、距離を縮めづらい人だなと思われていたかもしれません(笑)。

AIRI:年齢も私の方が一つ年下だしね。それに私が自身のセクシュアリティについてよく分かっていなかったもので。思い返せば学生時代に、いわゆるカッコイイ系の女の子に目が惹かれるという経験は何度もあったのですが、周りにLGBTQ当事者であることをオープンにして生きている人はいなかったので、自分がLGBTQ当事者かもしれないと考えたことはありませんでした。
ただ、セクシュアリティをオープンにして働くKAHOと出会い、同じスタイリストとして色々と相談に乗ってもらう機会が多くなってから、先輩として尊敬する気持ちと共に恋愛感情を抱いている自分に気づきました。それまでは男性としかお付き合いをしたことがなくて、女性とお付き合いするのはKAHOが初めてなのですが、今の自分の気持ちにとてもフィットしている感覚があります。

―― お家で仕事の話はする?
KAHO:よくする方だと思います。寝ようと目を閉じた瞬間に仕事のことがぷかぷかと浮かんできて、気になり出すと寝れないんです(笑)。「あのお客様は、どうカットしたんだろう」「そういえば、あの綺麗なカラー、何色選定したんだろう」などAIRIが寝ていなければ、ついつい話しかけちゃいます…。

AIRI:私も普段から仕事のことを考えている時間が多いので、KAHOと仕事の話ができる時間は嬉しいです。寝る前もそうですが、場所や時間に限らず日常会話の中に仕事の話が溶け込んでいる感じ。それが嫌とは思ったことはないですね。友人たちからは「24時間一緒って、ケンカとかにならないの?」と聞かれることが多いのですが、ケンカしたことすらないので、プライベートとお仕事が一緒で二人の関係が悪くなると思った事はありません(笑)。

KAHO:以前から、仕事とプライベートの境界線を作らず良好な関係性を築いていけるパートナーを求めていたので、AIRIとの生活はとっても充実しています。同じお店で働いているからこそ、相談も具体的にしやすいのもいいなって思ってます。

―― 二人の関係性を会社へ伝えたのはいつ?
KAHO:私たち二人が美容師という職業を通して世の中へ伝えたいことを伝えるためにはサロンの協力が必要不可欠だったので、社長とマネージャーにお話し合いの場を設けさせていただき、これからの働き方やお店のビジョンと共に交際していることをお話ししました。ただ突然のことだっただけに、社長とマネージャーは心の整理がつかない様子だったので、日を改めて面談の場を設けてもらうことになりました。
面談当日は『Hairsalon BREEN Tokyo』でセクシュアリティをオープンにして働くLGBTQフレンドリーな美容師として自分たち自身を打ち出し働き始めて以降の業績や、ご来店される当事者の割合、実際のお声などを提示して会社への貢献度を示しつつ、私たちらしく働かせていただけないかお話をしました。

AIRI:最終的には理解をしていただき、LGBTQ当事者の美容師“KAHOAIRI”として働かせていただいています。

―― 実際、セクシュアリティをオープンにして働くというのはどんな気持ち?
KAHO:自分も仕事も大好きになりました。オープンにする以前のアシスタント時代は、「仕事辞めたいなぁ」「楽しくないなぁ」と常日頃から思っていて、活き活きと働いている自分を想像することすら出来なかったので、今の環境にはとっても感謝しています。一方で、今この瞬間もクローズドだった私のような気持ちを抱えて生きている方たちが、たくさんいるのも事実。

そのような方たちが自分自身に嘘をつかず、自分らしく生きれる社会に少しでも貢献したいという気持ちからオープンに働いているという面もあるんです。『Hairsalon BREEN Tokyo』にはLGBTQ当事者のお客様はもちろんですが、非当事者のお客様もたくさん足を運んで下さります。そういった方たちに、KAHOAIRIの存在を通して「LGBTQの人たちって、結構身近にいるものなんだなぁ」と知ってもらうことが大切なんじゃないかなって。

もしかしたら「この前、髪を切ってくれた人がLGBTQ当事者の人で…」と彼ら彼女らが所属するコミュニティで私たちの話をすることで気づきや考えるきっかけを与えてくれるかもしれないし、そのコミュニティの中に当事者がいたら、何かの救いになるかもしれない。地道ですが、そういった希望や目標を持って働けていることは幸せだなった思います。

AIRI:実はKAHOとお付き合いする前は仕事も恋愛もブレブレで。将来、自分がどんなスタイリストになりたいか、どんな人と一緒にいたいのか分からなかったんですけど、美容師というお仕事を通してLGBTQ当事者が生きやすくなるよう社会へアプローチするKAHOの背中を見て、「私も自分の生き方そのものが、誰かに影響を与えられる人生を歩みたい」と思い、彼女と同じ信念を持って働くことを選びました。

自分のセクシュアリティをパンセクシュアルだと自認し始めた当初は接客をする際に「私はパンセクシュアル で、今女の子と付き合っているんですけど…」といわゆる“カミングアウト”のような形でお話をすることが多かったんですけど、それが返って“当たり前ではない存在”を強調しちゃっているように思えて、それからはセクシュアリティを明確に提示する話し方をやめました。
ごくごく自然な流れで「いや、最近彼女がね~」とお話しすることが、“私たちの普通”を“世の中の普通”として浸透させていくことに少しでも貢献できるコミュニケーションの取り方なんじゃないかなと考えています。

―― 最後に、KAHOAIRIの未来予想図を教えて。
KAHO:たくさんのプラットフォームを使用して情報を発信している今、少しずつ私たちの存在を知ってくれる方たちが増えて嬉しいという気持ちの反面、地方のLGBTQ当事者の方からは「美容室で嘘の恋愛話をするのが面倒くさい」「LGBTQに対する偏見を感じる場面があるので、自分で髪を切っている」というメッセージが届くことも多いんです。ヘアスタイル というのも、自分らしさを表現する大切な一部分であるのに、それを楽しむことが出来ない人がいるのが悔しくて。
なので、10年後は全国にある全ての美容室でジェンダーやセクシュアリティに配慮したお店作りが当たり前の社会になっているように、これからも私たちのいる美容室からメッセージを発信し続けていきたいです。

KAHO:あとは、各方面で活躍しているLGBTQ当事者の方たちとの素敵な縁を活かして、新宿二丁目以外でも当事者同士が繋がれるイベントみたいなのも運営できたらいいねっていうのは、AIRIも含めて仲間内で話しています。

AIRI:プライベートのことを言えば、今まで私たちを支えてくれた方たちに感謝の気持ちを込めて結婚式を挙げたい! もちろん、正式に婚姻関係を結んで♡ 今はネコちゃんを飼いつつ二人だけの時間を大切に過ごしたいという気持ちがお互い強く子どものことは考えていませんが、いつか欲しいと思う時が来るかもしれない。その時はその時、ゆっくり今後について話し合って決めていきたいなって思ってます。

■ KAHOAIRIプロフィール
■ セクマイ美容師カップル YouTubeチャンネル

名前:KAHO/年齢:25歳/誕生日:6月22日/職業:美容師/出身地:新潟県/趣味:アイドルのドキュメンタリーを観ること/恋人といて一番幸せを感じる瞬間:一緒に寝ているとき/恋人の好きなパーツ:笑ったときの柔らかな表情筋
■ Instagram@kaho_anazawa

名前:AIRI/年齢:24歳/誕生日:12月12日/職業:美容師/出身地:千葉県/趣味:映画鑑賞・カラオケ/部屋で一番お気に入りの場所:二階の寝室/恋人の好きなパーツ:ハサミを持っているときの手
■ Instagram@airi_london

企画・取材/芳賀たかし
撮影/新井雄大
記事制作/newTOKYO

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