広島・長崎式典に遠隔参列 核兵器廃絶願う【アルゼンチン】

 広島と長崎に原爆が投下されて75年。アルゼンチンを中心に世界中のスペイン語圏の人々が共に世界平和を祈るため、ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」に結集した。広島市と長崎市で開かれた式典のライブ中継を共有し一緒に遠隔参列を行った。NGOフンダシオンサダコとトゥクマン日本人会がアルゼンチンで、自宅から皆で参加しようと呼び掛けた。
 8月5日の夜、チリ、ボリビア、ウルグアイ、スペイン、ベネズエラ、メキシコ、グアテマラ、日本から参加者があった。黙とうの時には参加者が折り鶴を手に、核兵器廃絶や世界平和、世界の人々の健康を願った。日本に留学経験のあるカタマルカ州知事、平和首長会議加盟7921番目のチリのエンペドラド市長、在アルゼンチン日本大使館領事など、約100人が遠隔で参列した。
 トゥクマン日本人会の幹事、神谷エステバンさん(37)が、非日系会員でスペイン系のダニエル氏とライブ発信も行った。神谷さんの祖父は今帰仁村から1938年に渡航して洗染屋を営んだ。父はアルゼンチン生まれで家業を継いだ。その息子の神谷さんは事務職の仕事をしながら、日本人会の活動に参加する。遠隔参列には4世になる娘のゆうきちゃん(3)も同席した。
 神谷さんによると、今回の経験で広島と長崎の式典がスペイン語で理解でき、日本とつながっていると感じたという。母は名護市系2世だが、今まであまり自分の家族のルーツについて調べたことがなかった。改めて娘のゆうきちゃんをはじめ、次世代に自分たちの家族史を伝える責任を実感した。
 (大城リカルド通信員)

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