80年代を代表するクリスマスアルバムは「クリスマス・エイド」で決まり! #3 1987年 10月12日 チャリティアルバム「クリスマス・エイド(A Very Special Christmas)」が全米でリリースされた日

80年代を代表するチャリティアルバム「クリスマス・エイド」

とにかく豪華なアルバムである。80年代のクリスマスソングについて原稿を募ったら、同時に2人のカタリベからこのアルバムについて書かれたコラムが上がってきた。それが『クリスマス・エイド』、原題を『A Very Special Christmas』と称すチャリティアルバムである。こうなったら勢いで僕も書いてしまおう。

1987年の10月に発売されたこのアルバム、ちょうどLPからCDへの移行期でもあったけれど、僕はアナログ盤(しかもちょっと高い国内盤)で持っている。多分、当時バイトしていたディスクユニオンで従業員割引を使って買ったんだろう。

その昔、クリスマスソングは特別な存在

当時、クリスマスソング博士と呼ばれていた僕は(嘘)、古今東西のクリスマスソングやクリスマスアルバムを片っ端から集めていた(本当)。今じゃ猫も杓子もクリスマスソングを発表するようになっているが、この時代くらいまでは、クリスマスソングというのは特別な存在だった。アルバムともなれば、それなりの実績を伴ったミュージシャンしかその権利を与えられず、制作側も相当な気合を入れて臨んでいたように思う。

1994年、驚異的なヒットを飛ばしたマライア・キャリーの『メリー・クリスマス』を端にその箍が外れ、粗製乱造の時代に入った印象があるが、ここでその是非を問うつもりもない。クリスマスソングがスペシャルな存在として位置付けられていたということを伝えておきたいだけだ。この『クリスマス・エイド』シリーズも、以降続編に次ぐ続編が作られていくのだが、残念ながらそのヴァリューは下がっていってしまった感が否めない(そうは言っても主旨はチャリティなので、現在に至るまで続けている事実には感服せざるを得ない)。

今なお一線で活躍を続けるミュージシャンが軒並み参加!

本題に戻ろう。とにかくこのプロジェクトはメンツがすごい豪華。80年代を代表するミュージシャン、そして今も一線で活躍を続ける大物たちが軒並み参加している。耳馴染みのクリスマススタンダードを自分たちの得意なスタイルでカヴァーしているので、それぞれの個性や持ち味も反映されて、初心者からマニアまで楽しめるヴァラエティに富んだ作品になっている。

A面:
■ サンタが街にやってくる / ポインター・シスターズ
■ ウィンター・ワンダーランド / ユーリズミックス
■ ドゥ・ユー・ヒア・ホワット・アイ・ヒア? / ホイットニー・ヒューストン
■ メリー・クリスマス・ベイビー / ブルース・スプリングスティーン
■ メリー・リトル・クリスマス / プリテンダーズ
■ ママがサンタにキッスした / ジョン・クーガー・メレンキャンプ
■ ガブリエルのメッセージ / スティング

B面:
■ クリスマス・イン・ホリーズ / ランDMC
■ クリスマス(ベイビー・プリーズ・カム・ホーム)/ U2
■ サンタ・ベイビー / マドンナ
■ リトル・ドラマー・ボーイ / ボブ・シーガー
■ ラン・ルドルフ・ラン / ブライアン・アダムス
■ バック・ドア・サンタ / ボン・ジョヴィ
■ コヴェントリー・キャロル / アリソン・モイエ
■ きよしこの夜 / スティーヴィー・ニックス

コケティッシュなマドンナとアーシーなジョン・クーガーがおすすめ!

以上が全ラインナップ。これだけのメンツを集めるのって果てしなく困難だろうけれど、チャリティがブームだった時代背景も手伝って、集めると言うよりアーティストたちが積極的に乗ってきたんでしょうね。そこに、エンタテインメント業界に脈々と続く “クリスマスソングを歌う大物感” も手伝って、これだけ豪華なアルバムができた。まさにこの時代にしか誕生し得なかったスペシャルなクリスマスアルバムだと思っています。

中でも僕が好きな曲は、マドンナが取り上げたコケティッシュな魅力満載の「サンタ・ベイビー」と、ジョン・クーガー・メレンキャンプのオリジナリティが炸裂する「ママがサンタにキッスした」かな。

話は変わって、JR東海のコマーシャルで山下達郎の「クリスマス・イブ」が使用されるのが、この1年後の1988年(深津絵里ヴァージョン)。いよいよクリスマス狂騒曲は加速度を増していくのです。

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※2016年12月3日に掲載された記事をアップデート

カタリベ: 太田秀樹

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