「日銀が買っているからETFを買え」というアドバイスは正しいか?投資信託との違い

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投資を始めて情報収集の一環として経済紙を読んだり、ニュースサイトを見ていたりすると、「日銀によるETF買いの観測が広がり、相場の下値が支えられている」や、「日銀は今日の東京株式市場で、通常のETFを〇〇億円買い入れた。」といった記事を目にすることがあると思います。

私の知人も投資をしている友人から「日銀も買ってるしETFを買ったら?」とアドバイスを受けたそうですが、「ETFが何か分からない」とのことでした。今回はETFについて学んでいきましょう。


ETFって何?

ETFは知らなくても、投資信託は知っている人は多いでしょう。投資信託とは、運用会社にいるファンドマネージャーという“運用のプロ”が、投資家から集めたお金を代わりに運用してくれる金融商品です。投資信託はファンドとも呼ばれますが、これを知っていればETFを理解するのも簡単かもしれません。

ETFは英語表記だと「Exchange Traded Funds」となり、その頭文字をとったものです。証券取引所で取引される投資信託を指します。ETFは証券取引所に上場している投資信託で、基本的には投資信託と同様と考えてもそれほど問題はありません。もう少し具体的に言うと、株価指数に連動するインデックスファンドを取引時間中は株式のようにリアルタイムで取引できるイメージです。

投資信託とETFの詳細な比較は下表にまとめましたが、昨今は投資信託のコストも株式の売買手数料もかなり低くなったため、両者の明確な違いは取引できるタイミングぐらいしかなくなってきた印象です。

なぜ日銀はETFを買うの?

さて、ではなぜ日本の中央銀行である日本銀行がETFを買うのでしょうか。これは決して資産運用の目的で買っているのではなく、金融政策の一環として買っているのです。細かく説明すると、あまりに長くなってしまうため、この記事では簡単に説明していきます。

まず、景気が悪くなると、国は財政政策と金融政策の2つで対応していきます。財政政策が減税や公共事業を指す一方で、金融政策は景気を刺激するために金利を下げたり、市場に資金を供給することを指します。

その金融政策の一環としてETFを買い入れているのですが、その目的は日銀の説明を借りれば、「リスクプレミアムに働きかけるため」となります。難しい話をしても本筋からずれてしまうので簡単に言い換えると、投資家がリスクを嫌がらないようにして、積極的にリスクを取る。つまり投資をする環境を作ることで、社会全体にリスクマネーが循環したり、相場の上昇での資産効果などによって、結果的に物価上昇につながっていくということです。

リスクプレミアムとは何かと思うかもしれませんが、昨年5月、日銀の雨宮副総裁の「リスクのない資産、安全資産と言われている国債の利回りと株価の利回りを比較して、その差にリスクが入っているのではないかという方法が一つある」との発言から察するに、イールドスプレッド(株式益回りと国債利回りとの差)などをリスクプレミアムの計測に使っていると考えられます。

日銀が買っているETFはどんな種類?

国内の証券取引所に上場しているETFは200本以上ありますが、日銀は全てのETFを買い入れている訳ではありません。「指数連動型上場投資信託受益権等買入等基本要領」に記載されている内容を簡易に書き出せば、東証株価指数(TOPIX)、日経平均株価(日経225)、JPX日経インデックス400(JPX日経400)という3つの株価指数に連動するETFを買い入れています。また、不動産投資法人(REIT)や「設備投資および人材投資に積極的に取り組んでいる企業を支援するためのETF」も買い入れることがあります。

よって、200本以上あるETFから、前述の3つの株価指数に連動するETFを買うことで、実際に日銀が買い入れているETFと同じものを買うことはできます。ETFは個別株と同様と考えればいいので、買いたいETFが決まったら、ネット証券のサイトやアプリから銘柄コードや銘柄名を入力して、買い注文を入れれば完了です。売買時は投資信託ではなく個別株と同じ考え方で大丈夫です。注文方法も成行と指値を選べますし、取引時間中であればいつでも売買が可能です。

日銀のマネをすればいいって本当?

さて、ここまで読めば、「ETFとは何か」「日銀がなぜETFを買い入れているのか」「日銀がどのようなETFを買っているのか」が十分理解できたかと思います。

ここで、冒頭の話に戻りましょう。自身の資産運用の方法として、日銀のマネをすることが良いと言えるのでしょうか?日銀が買ってくれるんだから、同じETFを買っておけば大丈夫というつもりで前述のアドバイスがあったのかもしれませんが、私はあまり同意できません。

やはり、老後資産を形成するために資産運用するのであれば、基本に忠実になるべきだからです。長期、分散、つみたての3要素を考えたときに、日銀が買うETFだけだと銘柄数は分散できているかもしれませんが、国や通貨、資産を分散することができていません。

日銀が買い支えてくれるから下値不安が他のETFよりは小さいという意見は分からなくもないですが、それであれば投資資産の一部を日本の株価指数に連動するETFにすればよいだけで、それらのETFだけに投資をするのは避けた方がよいでしょう。

本来であれば日銀のETFの買い入れが金融政策としてどれだけ効果的なのか。また、この政策がもたらす弊害は何かなども触れたかったのですが、今回は長くなくなってしまったので、次回以降に解説できればと思います。みなさんもこの2点について、自分なりに答えを用意してみてください。