近年Netflixコンテンツがすぐにキャンセルされる理由とは?

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近年、大手の動画配信サービスNetflixの新作コンテンツが数シーズンでキャンセルされるという事態が相次いでいる。サービス開始当初は息の長い作品が並んでいたNetflix作品に、今何が起きているのか。米IGNが分析している。

2013年にNetflixが『ハウス・オブ・カード 野望の階段』を嚆矢にオリジナル作品を提供し始めた時は、まだ提供作品数が少なく、簡単に作品をキャンセルしないNetflixの製作姿勢に対して巷ではジョークがささやかれていたほどだった。実際、同年にNetflixが配信した3本のオリジナルドラマ(『ハウス・オブ・カード』『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』『ヘムロック・グローヴ』)のうち、一番短かった『ヘムロック・グローヴ』ですら3シーズン続いている。『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』は全7シーズンで、計6シーズンの『ハウス・オブ・カード』も主演のケヴィン・スペイシーのスキャンダルがなければもっと続いただろう。

しかし、2014年に鳴り物入りで製作した『マルコ・ポーロ』の失敗はNetflixのその後の作品製作に暗雲を投げかけた。以降も大作と謳われていた『ブラッドライン』『ゲットダウン』『The OA』などが2シーズン以内と短命に終わり、製作規模から言うと結果は明らかに失敗だった。

現時点で『ザ・クラウン』や『オザークへようこそ』のような話題作はあるが、どちらも既に最終シーズン製作が決定。そのほかにも今年だけでも『オルタード・カーボン』『ダーククリスタル:エイジ・オブ・レジスタンス』『サブリナ:ダーク・アドベンチャー』といった注目作のキャンセルが発表されている。同社史上最大のヒットを飛ばし、シーズン4が待機している『ストレンジャー・シングス 未知の世界』がなければ、目も当てられない事態になりかねなかった。

近年Netflixのキャンセルが目に見えて増加している最大の理由は、何よりもまずそのオリジナルコンテンツ数の多さにある。2013年に片手に満たない本数でスタートしたNetflixのオリジナルコンテンツだが、7年経った現在ではアメリカのどのプラットフォームよりも多くの本数を一年でリリースしている。これではいかに視聴者がイッキ見しようとも到底追いつかない。

さらにNetflixは、それらのオリジナルコンテンツのプロモーションをあまりしない。特別推している作品だとほかのネットワークのTVチャンネルに番宣コマーシャルをかける場合もあるが、基本的に多くの作品はほとんどの視聴者に知られないままだ。ストリーミングサービスという媒体の性格上、コンテンツ上にほかの作品の番宣も入れにくい。

端的に言って、Netflix作品がキャンセルされる理由は、従来ネットワークにおいて番組がキャンセルされる理由と変わらない。つまり製作コストに対する視聴者数の比率の問題だ。視聴者が少なければ、作品はキャンセルされる。とはいえ、この理屈が必ずしも的を射ているかは定かでない。というのも、基本的にNetflixは作品の視聴者数を公表していないからだ。

Netflixは、視聴者の動向の判断に「データ・ポイント」を利用する。そのシステムでは、ある作品のシーズンの第1話だけを見たのか、全話を見たのか、配信後1週間、4週間での視聴者数はどのくらいかといったデータが蓄積されていく。それによって、作品を更新するかキャンセルするかが決まる。したがってNetflix作品の運命は、配信開始から最初の一カ月で決まると言える。

さらにNetflix作品は、新シーズンを迎える度に製作コストに上乗せされるプレミアム料金が上がっていくシステムになっている。そのため、どの作品においてもシーズンが続けば続くほど出費は上がる。そんな上がり続ける出費に見合うほど人気のある作品を製作するのは至難の業であり、結果として多くの作品は、せいぜい2シーズンから3シーズンでキャンセルされてしまうのだ。

そしてNetflixがストリーミングサービスであるという事実も忘れてはならない。ネットワークと異なり、常に加入者を維持しなくてはならないという至上命題があるわけだ。つまり、その作品が話題になって新規加入者を獲得する有効なツールであると見なされなければ、キャンセルの可能性から免れ得ない。この場合、視聴者数が先シーズンと同じという横ばいではダメなのである。サービス開始当初の『ハウス・オブ・カード』と『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』が長く続いたのは、とりもなおさず両作品が新規加入者獲得に大いに役立ったからに他ならない。今後Netflixでロングラン作品が現れる可能性は、それほど大きくはないだろう。(海外ドラマNAVI)

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