「マネー・ボール」のビリー・ビーンにアスレチックス離脱の可能性

「マネー・ボール」の主人公として有名なビリー・ビーンは20年以上にわたってアスレチックスで敏腕を振るってきた。当時はゼネラルマネージャー(GM)、現在は野球部門の上級副社長という肩書で活躍しており、アスレチックスの名物的存在と言えるビーンがチームを離れることは考えにくい。しかし、「ウォール・ストリート・ジャーナル」の報道によると、ビーンがアスレチックスを離れる可能性が浮上しているようだ。

報道によると、ビーンが共同議長を務めるベンチャー企業「RedBall Acquisition Corp.」がジョン・ヘンリー(レッドソックス)の会社である「Fenway Sports Group」の一部を推定80億ドルで購入することで合併を試みているという。「Fenway Sports Group」はレッドソックスを所有しているため、ビーンは技術的にレッドソックスの経営に関わることになる。これは利益相反を引き起こしてしまうため、アスレチックスを離れざるを得なくなる可能性があるようだ。

アスレチックスとレッドソックスの両球団は、この件を確認しておらず、言及も避けている。また、「ウォール・ストリート・ジャーナル」によると、ビーンがアスレチックスを離れることになった場合、レッドソックスの運営に関与する可能性は低いという。それよりも英プレミアリーグのリバプールFCを含む他の事業に目を向けるだろうと見られている。

現在58歳のビーンは、1997年にアスレチックスのGMに就任し、「マネー・ボール」と呼ばれる手法でスモールマーケット球団のアスレチックスを何度もポストシーズンへ導き、大きな注目を浴びた。2002年オフにはヘンリーがオーナーを務めるレッドソックスがビーンの招聘を試みたこともあった。ビーンはその後、2015年オフに野球部門の上級副社長へ昇格し、デービッド・フォーストがGMを務めている。

ビーンのサッカーへの情熱は広く知られており、アスレチックスの名物的存在がサッカー界に本格進出することになるかもしれない。なお、メジャーリーグ公式サイトのマーク・フェインサンドによると、ビーンは各種の交渉に巻き込まれているものの、現時点では何らかの公式発表がただちに行われる様子はないという。今後の動向に注目したい。

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