Amazonの宅配サービス「Prime Now」はおトク? 品揃えや価格を店舗と比較

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生鮮食料品などの商品を2時間以内に配達してくれる、Amazonのプライム会員向けのサービス「Prime Now」。前回の「」に続き、レビューの後編となる今回は、商品の品揃えは十分なのか、価格は果たしておトクなのかといった、実際にサービスを使ううえで気になるであろうポイントをチェックしました。

店頭にある商品をピッキングして出荷。配送時間の自由度は高め

この「Prime Now」で気になるのは、品揃えや価格です。最短2時間で届けてくれるという利便性はあるにせよ、そもそも注文したい品がなかったり、価格が店頭に比べて極端に高いとなると、利用を躊躇してしまいます。

まず品揃えについては、現在の提携先である「ライフ」の取扱商品の中から、売れ筋などに絞って提供されているようです。今回注文した20点近くの商品について実店舗に足を運んで調べたところ、いずれも店頭で同じ商品が取り扱われていました。

スーパーでは何万点もの商品が取り扱われており、それらがすべて買えるわけではありませんが、ひととおりのジャンルは網羅されています。ただし、イオンネットスーパー(以下、イオン)や楽天西友ネットスーパー(以下、西友)など他のネットスーパーと比べると、同一のカテゴリー、例えば「薄切りの豚肉」といった中で、複数の候補の中から比較して選べるほどの品数はないようです。

ちなみに、これらの在庫はAmazon専用ではなく、店頭で売られているものが転用されるシステムになっており、生鮮食料品に貼られているラベルに至っては店頭用のものそのままです。

実は、筆者宅への配送を受け持っている都内の「ライフ」に足を運ぶと、この「Prime Now」で注文された商品を、スタッフが店内でピッキング作業を行っている様子に遭遇します。つまり、Prime Now専用の倉庫があるわけではなく、店頭に陳列されている商品を詰めて配送するという、買い物代行に近いシステムで運営されていることが分かります。

配送時間の自由度についてはどうでしょうか。イオンや西友などのネットスーパーでは、配送時間を2時間ごとに区切り、その枠が一杯になると受付を終了するというシステムになっています。そのため利用者が多いと、当日夕方までの配送は、前日夜の段階で締め切られていることもしばしばです。

これに対してPrime Nowは、現時点では(少なくとも筆者の担当店では)配送枠に制限はなく、その日の夕方に必要な商品を、昼過ぎに注文して届けてもらうこともできます。それゆえ、当日どうしても必要な品ができたが買い物に出掛けられない……といった場合に、急いで届けてもらう用途にはぴったりです。

価格はほぼ同等だが、肉や惣菜などの「量り売り」は不透明な部分も?

一方の価格については、店頭価格と完全にイコールではありませんが、平均するとおおむね同等です。今回、Prime Nowで注文した商品のうち、量り売り商品(後述)を除いた十数点の価格を店頭価格と比べたところ、飲料でひとつだけ10%近く安価な商品があった以外は、店頭価格のプラスマイナス5%の範囲に収まっていました。

そのため、商品やジャンルで細かい差こそあれど、平均するとおおむね店頭と同価格と見てよさそうです。対象商品が店頭でセールを行っていても、Prime Nowでは通常価格のままだったりと、結果的に店頭のほうが割安な場合はありますが、それはほかのネットスーパーでも同じです。

では、肉や惣菜のような量り売り商品はどうでしょうか。これらについては、アプリ上で表示されている価格は中間値で、実際にはやや多めに届くシステムになっているようです。特に肉などは、量が足りないと料理を作れないケースもあるため、注文時に指定したグラム数を下回らないよう設定されているとみられます。

こうしたシステムは、ほかのネットスーパーでも同様なのですが、Prime Nowが独特なのは実際に選択された品物の価格に合わせて、注文時の価格があとで修正されることです。

例えば、「100g100円」の商品を注文したとして、届いた品が110gだった場合、それに応じた単価、つまり110円が請求されます。そのため、注文時と確定時とで、注文総額が変わる場合があります。言うなれば、リアル店舗での量り売りと同じシステムです。

前述のイオンや西友といったネットスーパーでは、こうした場合でも請求額が変更されることはなく、100g→110gになった場合でも、請求されるのはあくまで注文時の価格である100円のままです。差額分をネットスーパーの側が負担することにより、ユーザの側は予算総額が決まっている場合でも、安心して買い物ができるというわけです。

これだけならば、ネットスーパーごとのシステムの違いというだけで説明できるのですが、Prime Nowの場合、記載されている変動幅を超えて請求されることがあるのが、少々不明瞭なところです。

例えば、以下の写真にある「若どりもも挽肉」は、アプリ上で「127円」のところ、税込288.36円と、2倍以上の量が届きました。内容量は181gで、タイトルにある「68g-92g」という範囲からも大きく外れています。

ここで、もし「最大の92gを超えた差額は請求しない」というルールが存在し、もとの「159円/100g」という単価から算出できる、92gでの最大単価「146.28円」が請求されるのならば納得がいくのですが、このケースでは「227円」という、142gに相当する額が請求されています。

実際に届いたパックは181g/288.36円なので、この227円というのは割安ではあるのですが(この額の根拠が不明なのも気持ちの悪いところです)、注文時に予想しうる金額を大きく超えてしまっています。この仕組みだと、お店側の裁量ひとつで金額が上限なく変更できてしまうため、利用する側からすると不安が残ります。

筆者が今回これに気づいたのはすでに消費したあとで、特に問い合わせはしなかったのですが、予算の上限を厳格に守って注文している場合などは、知らないうちに総額が上回ってしまう可能性もあります。こうした点が気になるようであれば、注文直後に届くメールと、請求額確定時のメールを見比べて、不明点があれば問い合わせる癖をつけたほうがよいかもしれません。

提供エリアが維持されるかどうかが最大のポイント?

最後になりましたが、Prime Nowの利用にあたって最大のネックとなるのは、提供エリアの問題です。現時点では、東京23区や大阪市内を中心とした一部エリアのみのサービス展開となっており、このエリア内に配達先がなければサービス自体を受けられません。今後、提携先の事業者が増えたとしても、その事業者が配達可能な地域に限られるため、全国津々浦々までサービス提供範囲が広がる可能性は低そうです。

また注意したいのは、Prime Nowのサービスインからこれまでに、サービス提供エリアの変更により、実際にサービスを利用できなくなった地域があることです。具体的には、当初は東京23区のほとんどで提供されていたのが、当時提携していたマツモトキヨシやココカラファインが取扱を終了したことで、2019年の時点でエリアを都内10区にまで縮小。神奈川や千葉、兵庫などの一部エリアも、提供を終了しています。

その後、23区のほとんどの地域が提供エリアに復帰し、近隣の一部エリアも新たに提供エリアに加わって現在に至っていますが、もともと対象エリア外だったのならまだしも、すでに使えていたのが途中で使えなくなるのは、日常的なインフラとして使うタイプのサービスとしては困りもので、利用にはやや慎重にならざるを得ません。

こうした提供エリアの変更は、事業者の参入・撤退に依存するため、Amazon側の意向とは無関係に、今後も変更になる可能性があります。こうした点を考えると、現状ではあくまでも“いざ”という時に利用するためのサービスで、最短2時間で届く点や、Amazonと同じ支払方法が使えるなどのメリットも考慮しつつ、ほかのネットスーパーとうまく使い分けるのが吉といえそうです。