「長時間労働が疑われる事業場に対する令和元年度の監督指導結果」が公表されました

2020年9月8日、厚生労働省は「長時間労働が疑われる事業場に対する令和元年度の監督指導結果」を公表しました。
対象となった事業場は、以下の通りです。

①各種情報から時間外・休日労働数が1か月あたり80時間を超えていると考えられる事業場
②長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求があった事業場

調査の結果、対象となった32,981事業場のうち、15,593事業場(47.3%)で違法な時間外労働が確認されました。

法違反の現状

平成31年4月から令和2年3月末までの監督指導の結果、32,981事業場のうち、25,770事業場(78.1%)で労働基準関係法令違反がありました。
法令違反があった、主な業種は下記の通りです。
昨年は、法令違反が最も多い業種は製造業でしたが、今年の報告では法令違反が最も多い業種は「商業」となりました。

また、法令違反の内訳をみると、時間外労働が最も多く、次いで健康障害防止措置(衛生委員会、健康診断、産業医による面接指導等)の未設置が多い結果となりました。

監督指導実施事業場を事業場規模別、企業規模別に比較してみると、事業場規模、企業規模ともに10人~29人の中小企業で、最も多くの監督指導が行われました。

健康障害防止に関する指導状況

監督指導を実施した事業場のうち、15,338事業場に対し、健康障害防止措置を講じるように指導をし、6,095事業場に対しては、労働時間を正確に測るため、厚生労働省で定める「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に適合するように、始業・終業時刻の確認及び記録方法の見直し等などついて指導をしました。

時間外労働の実態

違法な時間外労働があった15,593事業場において、月の時間外・休日労働時間数の最長者を前年度と比較すると、以下の通りになり、違法な時間外休日労働があった事業場の数は、前年に比べ減少する結果となりました。
また、監督指導実施事業場の中には、労働時間の管理方法が原則的な方法である、タイムカードや、ID、ICカード、PCのログイン時間により記録を残す方法ではなく、自己申告制により労働時間を管理している事業場が、9,859事業場もあったことが明らかになっています。

新型コロナウイルスの影響で、在宅ワークなどオフィスに行かない働き方が主流になりつつある中、従来のタイムカードなどを利用した労働時間の管理が難しくなっている企業は多数あると思います。
ですので、厚生労働省の監督指導結果も来年度は違った結果になるのかもしれませんね。

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