スパでサインツJr.を襲ったPUトラブルがノリスにも発生。イグニッションの問題でリタイアに

 マクラーレンF1チームによると、第11戦アイフェルGPでランド・ノリスをリタイアに追い込んだエンジントラブルは、スパ・フランコルシャンで行われた第7戦ベルギーGPでカルロス・サインツJr.が見舞われた問題と同じものであるという。

 ノリスはアイフェルGPの決勝で順調に走行しており、突如パワーを失ったと報告した時には3番手につけていた。マクラーレンのピットウォールはノリスに対し、“デフォルト03”コマンドを実行してエンジンの保護モードを終了するように促したが、彼が必死に操作を繰り返しても残念ながら効果は得られなかった。後にノリスは、何度もボタンを押したために手が痙攣したと冗談めかして語っていた。

 パワーユニット(PU)の保護モードを無効にできず、ノリスはマシンを停める以外に選択肢がなかった。この時彼のマシンの車体後部は、ゆっくりと焼け始めていた。

 マクラーレンのマネージングディレクターを務めるアンドレアス・ザイドルは、ノリスのルノー製パワーユニットに影響を及ぼした問題は、ベルギーGPでサインツJr.がが見舞われた同じイグニッションの不具合だったと考えている。

「これはスパでカルロスに起きたことと同じ問題のようだ」とザイドルは説明した。

「イグニッションに問題があるということだ。そのために未燃焼燃料がエキゾーストに流れ込んだのだ。そうして“ダメになった”」

「この問題を解決しようとしている。このような問題が起きた時にはエンジンの保護モードが役に立つと言える。だが残念ながらそうはならなかった。なぜなら絶えず問題が起きていたからだ」

 ノリスはトップ4でフィニッシュすると思われたし、表彰台獲得の見込みさえあったので、ザイドルはノリスのリタイアを嘆いた。

「非常に残念なことであることは明らかだ。ランドはレースで非常に良い順位につけていた。彼は4番手を走っていて、ダニエル(リカルド/ルノー)とは異なる戦略を採り、実際にリカルドを捕らえていた」

「レースの終わりに向けて、タイヤの寿命に違いがあったその戦略がどのように展開するか、興味深いことになるはずだった」

「そういうわけでリタイアは非常に残念に思う。彼が速いペースで我々の主だったライバルたちとレースで戦うのを見るのは素晴らしいものだった」

2020年F1第11戦アイフェルGP ランド・ノリス(マクラーレン)

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