がん進行に特定化合物関与 鹿児島大など仕組みを一部解明 国際専門誌に掲載

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 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科は13日、がん細胞からがんの進行を引き起こす物質が放出される仕組みの一部を解明したと公表した。14日、米国の国際専門誌「セルリポーツ」に掲載される。がんの新たな治療法開発に貢献することが期待される。

 研究は大阪国際がんセンター糖鎖オンコロジー部の原田陽一郎チームリーダーを中心に、同大学院や理化学研究所など4機関が共同で行った。

 2015~19年に同大学院システム血栓制御学講座に在籍していた原田チームリーダーは、皮膚がんが増殖・転移する際にがん細胞から放出され、正常な組織に影響を与える「非エクソソーム小胞」と呼ばれる細胞外小胞に着目。この小胞の形成過程で、特定のアミノ酸に結合する「糖鎖」と呼ばれる化合物が関与していることを明らかにした。

 糖鎖の結合を阻止することで小胞の形成を阻害できれば、皮膚がんの増殖や転移を抑えることが期待される。

 研究に携わった同大学院皮膚科学の金蔵拓郎教授は「今回は皮膚がんに対する研究の成果だが、他の固形がんも同じ仕組みで増殖・転移している可能性がある」と話し、「この研究結果が創薬や新たな治療法の開発につながれば」と述べた。

 足かけ6年の研究が一定の評価を得たことに、原田チームリーダーは「とてもうれしい。だが、がんの研究は遺伝子やタンパク質など他の分野に集中している。糖鎖にもっと注目してもらえるよう研究に励みたい」と語った。