お笑いレスラー・後藤物央紀 痛快!スクーター盗難犯を「自力でねじ伏せた」

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巣鴨プロレス所属する後藤物央紀。週に5日はトレーニングしているガチムチレスラー

10月5日、午前3時ごろ。「西口プロレス」の若手部門「西口ドア」のリングに上っている、お笑いレスラー・後藤物央紀(ごとうものおき・40)は、夜間清掃のバイトを終えて帰宅したところだった。

彼は、新日本プロレスの人気レスラー・後藤洋央紀のものまねで戦う、一部でコアな人気を誇るマニアックレスラーだ。もちろんまだ夜明け前で周辺は真っ暗だったが、買い物に行こうと後藤がアパートを出ると、近くの学校の校門前で5~6人の若者が1台のスクーターを囲んでたむろしているのに気付いた。

「あれ、あの原付って……?」

後藤には、見覚えがあった。
じつはこのアパートで、彼は同じ「西口ドア」所属のレスラー・棚ボタ弘至(40)と、友人女性・A子さんと3人でルームシェア生活を送っている。時を遡ること約1カ月前の9月6日夜、A子さんがアパートの前に駐めていた愛用のスクーターが盗まれる事件があり、交番に盗難届も出していたのだ。

「しかも盗まれた翌日から、若い男たちがアパートの周りで、この原付を乗り回し始めたんですよ。僕やA子、そして近所の人たちまで何度も目撃して、『喧嘩を売ってんのか』と思いました。『近所のガキどもだな』と思って、僕と棚ボタで付近を探し回ったりもしたんですが、原付は見つけられなくて……」(後藤)

その盗まれたスクーターが、目の前に出現したというわけだ。しかも、犯人たちと思しき若者5~6人も横にいる――。

「テンションが爆上がりしましたね。男3~4人に、女2人だったかな。地面に座ってダベっていたんですよ。その中にズンズン入って行って、スクーターの座席にドカッと座ってやったんです。僕は運転免許を持ってないから、原付の動かし方がわからない。とりあえず、逃げられないようにしようと」(後藤)

「僕は、その現場にはいませんでしたが、彼らもビックリしたと思いますよ。いきなり髭面のデカい男が現われて、原付きにまたがるんですから(笑)」(棚ボタ)

ポカーンとする若者たち。後藤は「お前ら、いい度胸してんな。このバイク、誰のか知ってんのか?」と怒鳴りつけたという。その瞬間、若者たちは、まさに脱兎のごとく逃げ出した。

スクーターをアパートまで運ぶため、一度は見失ったものの、その後、自転車で周辺を探すと、近所の公園で男性2人と女性1人を発見。いきなり追い回され、事情もわからず呆然とする女性に、「あれは盗難車なんだよ」と説明して、自宅アパートの前まで連行しようとしたところで、隙をついて再び逃げられた。

「A子も騒ぎに気づいて起きてきたので、棚ボタと3人で交番に行くことにしました。その途中で、また男2人を見つけたので、自転車で全力で追いかけましたよ」(後藤)

髭面の巨漢に自転車で追い回される若者2人は、逃げながら罪のなすりつけ合いをしていたという。

「『お前が捕まれ!』『お前が盗んだんだろ!』とか、言い合ってるんですよ。こんなところで友情が壊れる瞬間を見るとは……(苦笑)。ずっと走ってるから、向こうもへばってるんですよ。こっちも腹が立ってるから、追い詰めながら、『もっと頑張れ! 走れ!』なんて声をかけちゃった。

最後は、小柄なほうがコケたんで確保! ヘッドロックとかして過剰防衛にならないように、腰のベルトを掴んで逃げられないように、ねじ伏せて……」(後藤)

その後、警察の事情聴取で、彼らには余罪があることも判明。スクーターを何台も盗んでいる常習犯だった。彼らは成人しているが無職で、後藤の住むアパートの近所で、両親と暮らしていた。盗まれたスクーターのメットインには、なぜか犯人のトランクスが入れられていた。

「体重100kgで全力疾走したんで、膝を痛めましたよ」(後藤)

一部始終を見届けた棚ボタも、こう言って笑う。

「後藤くんは、清掃のバイト明けで、ものすごい臭かったんですよ。臭くてゴツいおっさんに追い回されて、犯人たちも反省したと思います。今度は、『西口ドア』のリングに “お礼参り” に来てくれたら、おもしろいんですけどね。また自転車に乗って、笑って追いかけますよ」

A子さんは現在、犯人たちと示談するか、事件化するかを検討しているという。

「原付にいろいろ傷がついたり、ミラーが割れたりしているので、全部直すと15万円くらいかかるそうなんです」(A子さん)

腕に覚えのあるレスラーだからこそできた、痛快な逮捕劇だった。