今オフ注目の中日・大野雄はFA権行使する? 元同僚が「金額じゃない」と予想するワケ

中日・大野雄大【写真:荒川祐史】

昨季まで中日で5年間プレーした元外野手の友永翔太氏が見ていた大野雄の姿

中日の大野雄大投手は14日、本拠地での阪神戦で実に今季5度目となる完封勝利を挙げた。防御率1.92は巨人の菅野を抜いてリーグトップに。うなぎ上りの評価とともに一層注目されるのが、今季取得した国内FA権行使の行方。エース左腕と5年間ともにプレーした元同僚は「大野さんの判断基準は、金額じゃない面もあると思う」と予想する。

投げるたび、スコアボードに並ぶ「0」。14日も最後までマウンドに立ち続け、勝利の拳を握った。球団では2001年の野口茂樹以来19年ぶりとなるシーズン5完封。さらに連続無失点を36イニングに伸ばし、次回登板で球団記録に挑む。128奪三振は、防御率と合わせてリーグ2冠。勝利数こそ13勝の菅野と4差つけられているが、自身のキャリアでも圧倒的な成績をマークしている。

そんな大野雄は7月に国内FA権を取得。その時点ではまだ1勝3敗と波に乗れていなかったが、そこから確変に突入。8月からの11試合で完投は9試合。126回2/3も現時点でリーグトップを誇る。一気に今オフ注目のひとりになり、早くもその去就に注目が集まっている。

残留か、移籍か。2019年まで5シーズン中日の外野手としてプレーした友永翔太氏は、元チームメートとして見てきた大野の使命感を語る。

大野雄は「チームと一緒に勝っていこうという思いが強い人」

「大野さんは誰よりも声を出してチームのことを応援する選手。だから大野さんが投げているときは援護したいという気持ちも一層強くなる。長年エースを担ってきたという面もあると思いますが、自分の白星じゃなくてチームと一緒に勝っていこうという思いが強い人です」

大野雄が先発として定着した3年目の2013年からチームは7年連続Bクラスと低迷。その責任を一身に背負ってきたひとりでもあった。ことあるごとに「チームが優勝するまでは……」と口にしていたのも、友永氏は覚えている。「誰よりも中日で優勝したいと思い、背中で示してきた人。長年ドラゴンズが勝てていないことを一番悔しいと思っているはずです」。普段は周囲を笑わせるお調子者キャラも、内心では忸怩たる思いでエースの重責と向き合ってきた。

今季は巨人に独走を許したものの、シーズン終盤に入って2位に浮上。8年ぶりのAクラス入りも見えてきた。「今季いいところまでいって、あとちょっとだという部分は大野さんの中にもあると思います」。上向いてきたチーム状況も、大野雄が決断する要因のひとつになり得ると友永氏はみる。

決断を下すのは紛れもなく大野雄自身だが、友永氏は中日OBとしての期待も込めて心中を推し量る。「長年やってきたドラゴンズへの思いは強いはず。だからこそ、最後は金額じゃない部分もあると思います。大野さんは中日に残る決断をされるんじゃないかなと思っています」。元同僚として、エース左腕の動向に注目している。(小西亮 / Ryo Konishi)

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