移転先なく、新環境に不安 益城町の県道4車線化と区画整理 熊本地震復興の地域差解消を

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4車線化事業が進む県道熊本高森線=14日午後、益城町惣領(後藤仁孝)

 熊本地震の発生から14日で4年半。2度の震度7に見舞われた熊本県益城町で進む県道熊本高森線4車線化(約3・8キロ)と復興土地区画整理(28・3ヘクタール)は、総事業費が合計約275億円の大事業だ。地権者と用地買収などの契約を終えた場所では工事が進む一方、両事業とも地権者の約2割から同意が得られていない。背景には、移転先探しの難しさや新たな環境への不安などがある。

 4車線化工事は、9月末時点で地権者278人のうち80・5%に当たる224人と用地買収契約が完了した。地域別では広崎~福富地区でほとんどの地権者が契約済み。一方、福富から宮園に至る地区は事業者や、事業者に土地を貸している地権者が多く、移転先の確保が難航。契約数は平均に達していない。

 県道沿線の50代自営業男性は「大きな通りから入り込んだ場所に移ったら、商売が成り立たないのではと不安」と、望みの移転先が見つからない悩みを打ち明ける。

 用地買収の交渉開始から10月で3年。県益城復興事務所は「地権者と一緒に希望に沿う土地を探し、納得してもらえるよう努めたい」と話す。可能な場所から4車線化することも検討している。

 一方、町中心部で進む全460区画の復興土地区画整理。区画内の地権者319人のうち、150人230区画の仮換地指定を終えた。地権者の約80%が仮換地案に同意か、おおむね同意した。

 7月に土地の引き渡しが完了し、年内に自宅を再建予定の会社員男性(56)は「仮設団地で離れて暮らす両親とようやく一緒に生活できる。ただ、周りには再建時期の見通しが立たない人もいる」と複雑な表情だ。

 区画整理の場合、新たな土地の配置に理解を得られるかが課題。住民には「自分の土地を削られてまで道を広くしなくてもいい」と、事業自体に否定的な意見もあるが、「新たな自宅の周りの環境や、これまでの隣近所との関係がどう変わるのか不安」といった声が多い。

 9月末までに地権者への土地の引き渡しが完了した13区画は、いずれも県道南側の住宅街。地震で被災した家屋が数多く解体され、更地が広がる地域だ。「建物がないので土地を再配置(換地)しやすい状況」と同事務所。これまで106区画で造成工事などに着手した。「工事や引き渡しを終えた宅地を地権者に見てもらい、仮換地指定が進んでいない県道沿いでも同意につなげたい」と話す。

 二つの事業を柱に地震からの完全復興を目指す益城町。事業主体の県や町には、地権者の合意形成と不安解消に努めながら、復興から取り残される地域が出ないよう事業を進めることが求められる。(立石真一)