発達障害 子育て経験を絵本に 「こわいきもちとちょっとのゆうき」出版

「発達障害の子どもを理解してもらうきっかけになれば」と話すたかみやさん=長崎新聞佐世保支社

 長崎県佐世保市在住の絵本作家、たかみやかなえさん(34)が発達障害をテーマにした絵本「こわいきもちとちょっとのゆうき」を出版した。長男の子育ての経験を元に、発達障害の子どもが友達づくりで直面する心の動きなどを表現。「身近にいる発達障害の子どもを理解してもらうきっかけにしたい」と話す。
 たかみやさんの小学2年の長男は、自閉症スペクトラム障害と注意欠陥多動性障害(ADHD)を抱えている。自分の気持ちを言葉で伝えることや大勢の人がいる環境が苦手。幼稚園では友達の輪に入れない時期もあったが、ほかの子どもたちや教諭からの声掛けで少しずつクラスになじむことができ、励まされた。
 「出来ることと出来ないことがはっきりしているのが発達障害の子ども。本人と親が抱える疎外感や不安な気持ちを伝えたい」。そんな思いでストーリーを制作し、「第2回絵本出版賞」に応募。「絵本のストーリー部門」で優秀賞に選ばれ、出版された。
 「こわいきもちとちょっとのゆうき」は発達障害を抱える少年が主人公。友達と遊びたいのに仲間に入れず、思い悩んでいたときに祖母に気持ちを受け止めてもらい、勇気を出していく物語に仕上げた。普段と違うことが起きると「あたまのなかが まっ白に」なることや、絵や数字を書くことが得意など障害の特性も易しく表現した。
 たかみやさんは「少しだけ勇気を出せば周りが変わるのはどんな人でも同じ。発達障害の子どもの気持ちが伝わり、『障害』のレッテルで判断されないようになってほしい」と話した。
 みらいパブリッシング、1650円。

 


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