谷川陣営の公選法違反 告発者に有罪「自首成立」 長崎地裁判決

 2017年10月の衆院選後、自民党の谷川弥一衆院議員(79)=長崎3区=の陣営が運動員に違法な報酬を支払ったとされる事件で、事件を告発し、自身も公選法違反(買収)の罪に問われた男性被告(61)=長崎市=の判決公判が14日、長崎地裁であった。裁判官は懲役1年2月、執行猶予5年(求刑懲役1年6月)の判決を言い渡した。
 判決理由で裁判官は、「民主主義の根幹である選挙の公正を損なうものであり、犯行の責任は重い」と指摘。一方で、事件を告発したことは「自首が成立する」との判断を示した上で、「本件を主導したと評価することはできない」などと述べた。
 陣営の会計担当者だった男性被告は19年7月、陣営関係者を刑事告発。今年6月、長崎県警は陣営関係者7人を同法違反容疑で書類送検し、長崎地検はこのうち被告ら2人を同罪で在宅起訴、1人を略式起訴した。公判で男性被告は起訴内容を認め「私は組織の歯車の一部として関わったにすぎない」と主張していた。
 男性被告は判決後、県庁で会見し、「告発の段階で何らかの罪に問われることは覚悟していた。こちらの主張をくんでもらえた。違法行為に関わったことへの負い目があり、清算できたと思う」と語った。
 一方、判決を受け、谷川議員は「私が関与していないところで起きた事象ではありますが、重大なことと真摯(しんし)に受け止め、深くおわび申し上げます。二度とこのような事態を起こさせないよう、再発防止に努めることを約束いたします」とのコメントを出した。
 判決によると、男性被告は17年12月28日ごろ、陣営関係者2人と共謀し、佐世保市内で車上運動員4人分の法定外報酬として現金78万円を支払った。

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