航空機産業強化へ 企業連携で供給網構築 低コスト、納期短縮

ウラノを中心に連携を強め、航空機の受注体制を強化していく=東彼杵町(ウラノ提供)

 長崎県内で航空機産業の受注体制の強化が進んでいる。市場の成長を見込む県は、製造業や機械設計業などの企業の連携を促進。県内企業群を中核としたサプライチェーン(調達・供給網)の構築で、価格や納品までの時間を削減してライバル企業との差別化を図る。
 航空機のエンジン部品の製造を手掛けるウラノ(東彼東彼杵町)は、ミナミ化工産業(諫早市)、新日本非破壊検査(北九州市)と連携関係を構築。三菱重工業や川崎重工業など国内のすべてのメーカーと取引があるウラノがエンジン部品の金属を加工した後、これまで県外企業に任せていた表面処理や部品に亀裂がないか調べるといった工程を県内企業を中心に担うことが可能になった。これにより輸送コストなどが削減され、納品までの時間も半減できると見込む。
 ウラノの小林正樹取締役副社長は「コストを抑え、早く納品できればライバル企業と差別化できる。県内でできる工程が増えるほど武器になる」と期待。海外進出も視野に、燃費を大幅に改善する次世代機などのエンジン開発を進める。企業群での年間売り上げ目標は10億円。
 県は資金面でサポートする。企業連携でサプライチェーンの構築や販路拡大を目指す企業群に2年間で最大5千万円を補助。開発費や試作品の製作、機械の導入などを後押しする。
 航空機の需要は、新型コロナウイルスの影響で一時的に落ち込んでいるが、日本航空機開発協会は2021年ごろから徐々に回復すると予測。県によると今後、中小型機などの需要が高まるとみられ成長産業に変わりないという。小林副社長は「(需要が落ちている)今はコストを下げるための改善、開発期間に充て、力を付ける時間にしたい」と話している。

 


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