燕・五十嵐、引退表明後に同級生石川と練習「泣くの堪えた」 会見の一問一答

ヤクルト・五十嵐亮太【写真提供:ヤクルト球団】

「結果を見つめ直した時にやめる時なのかなという気持ちが強くなった」

ヤクルトの五十嵐亮太投手が15日、都内で引退会見を開いた。日米通算905試合に登板し、現役最長だった23年間のキャリアを振り返って晴々とした表情に。「野球選手になれて良かったなと心から感謝しています」と語った。主な一問一答は以下の通り。

――今の気持ちは
「少し肩の力が抜けたような感じでほっとしてはいるんですけど、まだシーズンが続いていますし、最後、もしかしたら試合で投げるかもしれないので、それまでは気を張っていきたいです」

――引退の一番の理由は
「シーズン入る前から結果が出なかったら引退をするという覚悟でやってきました。今年も2軍スタートすることになり、自分の可能性を信じて続けていろいろやってきたんですけど、継続して結果を出すことができなくて、体は元気だったんですけど、やっぱり結果を見つめ直した時にやめる時なのかなという気持ちが強くなって、やめる決断をしました」

――決断したタイミングは?
「はっきりしたタイミングとしては8月に入ってから。本当にギリギリまで自分の可能性を信じ続けて、本当に最後、抑えるためだったらどんな方法でもいいなと思う時期もあって、恥ずかしい話ですけどサイドスローで投げてみたりする時期もあって。本当にそれくらい自分のやってないことはないんじゃないかというくらいやってきました。その上で結果を見つめた時にやめるべきだなという判断に至りました」

――誰かに相談はしたか
「家族には開幕する前からそのつもりでいてほしいと伝えていて、妻にやめる話をした時には少し寂しそうな顔をしていたんですが、受け入れてくれたのかなと。子どもたちも本当の気持ちかどうかは、恥ずかしくて出せなかったかも知れないけどお疲れ様と言ってくれました。ヤクルトからアメリカに行き、福岡に行きまたヤクルトに戻ってきて、常に家族はついてきてくれたので、いろんな苦労もしたと思います。そこに対しての感謝の気持ちも伝えました」

――同級生の石川雅規投手に話は?
「最初電話で話したんですが、びっくりしていました。(石川)本人は、まだ続けるんじゃないかと思ってくれていたみたいなので。電話で話した次の日、彼がたまたま戸田に練習しに来ていたので、キャッチボール相手がいなかったので、キャッチボールしたんですけど、その時に当時のことを思い出してキャッチボールしながら泣きそうになっちゃって。近くに後輩もいたし恥ずかしいんでぐっと堪えてやってたんですけど、ちょっと辛かったですね。彼は僕なんかよりはるかに技術があるピッチャーなんで、彼に僕が相談することが多かったですね。最近までも彼にいろいろ聞いてましたし、刺激をもらったチームメイトです」

同級生のチームメート石川へ「200勝を見せてもらいたい」

――41歳まで続けてこられた要因は?
「プロ野球選手になって生きていくためには何を選択するべきか、誰にも負けない投球技術などを探してきたときに、誰よりも早い球を投げることが、この世界で生きていくのに必要なことだと選択してやってきました。僕は決して対応能力が高い方ではないんですけど、自分なりに選択してきた道が、悪くなかったんじゃないかと思います」

――リリーフに対するこだわりは?
中継ぎをやっていていいなと思うことは、毎日試合に入れること。ブルペンでチームメートといろんな話ができて、ある意味一つのチームの方になって。抑えたことより、打たれたことの方がニュースになるんですよね。それはそれで面白いなと思っていて。抑え続けることが当たり前だと思われている、そんなところが中継ぎの魅力なんじゃないかと思います」

――引退後は?
「正直今のところ何も考えていないというか。本当はのんびりゆっくりと言いたいところだけど、41歳なのでね。冷静に考えて、僕自身が何もしないというのは耐えられない性格なので、野球以上にというのは難しいかも知れないけど夢中になれるものを見つけられたらと思います」

――石川投手にメッセージを
200勝を見せてもらいたいですね。近くで見ていて誰よりも練習をしていました。若い子にも負けないくらい。僕が引退するときも、彼の練習に対する向き合い方を見て少し心が折れてしまったくらいなので、周りの人がちょっとやる気なくしちゃうかもしれないのでそこはちょっと注意したいですね(笑)」

――野球は何を与えてくれた?
「野球をやっていると楽しいことばかりではなくて、辛いことの方が多い気がするんです。でもそこをどう乗り越えていくかと考えた時、これはもう野球人としても人としても大切なことなんじゃないかなと思っていて。どんな時もグラウンドに立ち続けて上手くなろうと言う気持ちを持つことが大切だし、それが今後の僕の人生に活かされると信じています」

――最後に登板の機会があればどんな球を?
「正直、見ている方に、まだまだできるんじゃないかという思いにさせたいという気持ちがあるのと同時に、僕自身、引退を撤回するくらいの勢いでやりたいと思います!」(新保友映 / Tomoe Shimbo)

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