内牧温泉、全宿泊施設が復活 熊本地震4年半 豊肥線や国道再開、観光回復に期待

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17日に営業を再開するホテル角萬。江藤真由美支配人が指差す右側の建物が再建した本館。左が別館=13日、阿蘇市
新しく建て替えたホテル角萬の大浴場

 熊本地震の本震で被災し、建物の再建のため休業していた阿蘇市内牧の「ホテル角萬[かどまん]」が17日、営業を再開する。地震から4年半。内牧温泉街では地震後に廃業した施設もあるが、これで宿泊施設はすべて復活し、落ち込んだ観光客の回復に期待が膨らんでいる。

 皇族や著名な映画人らが利用したことで知られる角萬は、地震で本館と別館が一部損壊、新館が半壊となった。地震後、修復しながら営業していたが、設備機器の不具合で2017年末から全館で休業して、国と県によるグループ補助金を活用して再建を進めてきた。地震でくみ上げができなくなった温泉は休業前までに再掘削し、復旧していた。

 再建した5階建ての本館と既存の6階建ての別館を合わせた客室数は、103(地震前は121室)。全室からの阿蘇五岳の眺望は健在で、オープンキッチンのバイキングレストランを設けるなど魅力が増したという。別棟に平屋の大浴場も新設。昭和天皇が宿泊された際、使われた食器をロビーに飾る。

 既に個人客の予約が入っているほか、26日には再開後初となる北海道の高校の修学旅行生を迎える予定。約60人いた従業員は地震後に全国のグループホテルに移るなどしたが、一部は再開に合わせて戻ってくるという。

 同市の阿蘇温泉観光旅館協同組合によると、地震当時に加盟していた内牧地区の17施設はすべて、建物の損壊や温泉が止まるなど被災。うち1施設は廃業したが、営業を続ける宿泊施設はこれですべて復旧を果たす。今年8月のJR豊肥線、今月の国道57号の再開に続き、地域は復興へまた一歩前進する。

 新型コロナウイルスの影響はあるものの、同組合の松永辰博事務局長(56)は「温泉街の復活を印象付けられる」と歓迎。同組合は体験型事業や旅先で仕事をする「ワーケーション」の受け入れなどに力を入れ、復興を加速させたい考えだ。

 角萬の江藤真由美支配人(54)は「源泉掛け流しの温泉と食、景色が魅力で、地元や県民に広く愛される施設にしたい。地域一体で、観光地の活性化にも取り組みたい」と意気込んでいる。

 角萬は、同温泉街で最古の1860年創業。2008年、経営権は創業家からブリーズベイホテル(横浜市)に移った。(東誉晃)