【10月16日付社説】乳がん月間/早期発見へ検診促す環境を

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 毎年10月はピンクリボンを象徴に正しい知識の普及、検診による早期発見の大切さを呼び掛ける「乳がん月間」だ。早期の治療が有効で、高い確率で治る病気とされる。検診の受診率を高め、大切な命と身体を守っていきたい。

 国立がん研究センターが7月に発表した最新のデータでは、日本人女性の9人に1人が乳がんにかかるとされる。女性のがんで一番多い。2018年に亡くなった人は1万4653人で、年々増加傾向にあり、その背景には検診の受診率の低さが指摘されている。

 県によると、18年度の県内の乳がん検診の受診者(40~69歳)は4万1887人で、受診率は46.9%だった。受診率は16年度の49.2%をピークに2年連続で減少しており、県が目標に掲げる「60%以上」に届いていない。特に、いわき市や郡山市などで受診率が低い。県内の受診率向上は急務だ。

 市町村による乳がん検診では、視診や触診、乳房全体を圧迫し、エックス線撮影するマンモグラフィー検査が行われる。2年に1回の受診が推奨されているが、仕事や子育て、介護などで忙しく、受診が後回しになっている女性が多いとみられる。費用や、検診日の大半が平日ということも妨げとなっているようだ。

 初回検診時に使える無料クーポンを配布したり、費用を助成したりしている自治体も多い。検査のための休暇や半休を取得しやすくするなど、受診しやすい環境を整え、定期的な受診を促していくことが大切だ。

 いわき市の民間団体「Iwakiピンクリボン」は乳がん経験者の交流会や勉強会などを通じ、健診の重要性を伝えている。

 事務局の立原めぐみさんは「痛いとか、お金がかかる、発見されたら怖いなどの理由で検診を受けていないという声を何度も聞いた。愛する家族のためにも、検診を受けてほしい」と話す。

 乳がんは「自分で見つけることのできるがん」ともいわれ、入浴時や就寝前に自分で胸を触って調べる自己触診が推奨されている。ただ触診の方法が分からない人も多く、体験会や指導教室で紹介している団体や医療機関もある。県や市町村なども触診方法の周知に努めてほしい。

 最近は市町村検診の対象から外れている40歳未満の患者も増えている。若年層は診断時のステージが他世代と比べ高い傾向もある。

 県や市町村は、20歳から市町村検査の対象となっている子宮頸(けい)がんと同様に、若年世代への啓発活動や支援を強化してもらいたい。