【新型コロナ】三浦マラソン、2021年も中止 安全対策を最優先

約1万人が健脚を競った昨年の第37回三浦国際市民マラソン=三浦市

 来年3月に予定していた第38回三浦国際市民マラソン(三浦市など主催)の中止が決まった。同マラソンの中止は2年連続。収束が見通せない新型コロナウイルス感染症の安全対策を最優先したためだが、大きな集客力を誇るイベントだけに観光・飲食業者の落胆は大きい。

 「コロナ対策を万全にして少人数で実施という方法も検討したが、財政上厳しかった。残念だが次回に万全を期すために、中止を決めた」。三浦市の吉田英男市長は神奈川新聞社の取材に無念の表情を浮かべた。

 風光明媚(めいび)なコースを走る三浦国際市民マラソンは毎回約1万人が参加する市内有数のイベント。市営業開発課によると、多いときには家族や関係者などを含め9万人近くが来訪し、経済効果も大きいという。

 市は全体の15%に相当する900万円を運営費として投入し、あらゆる可能性を探りながら開催に向けた準備を進めてきた。しかし、新型コロナが沈静化せず、今月1日から予定していたエントリーの開始を延期。会場設営や記念品などの準備を始めるタイムリミットとなる10月中旬に苦渋の決断を余儀なくされた。

 来年3月時点の感染状況が不透明な中、「開催して万が一クラスター(感染者集団)が発生したら、大会の存続にも影響しかねない」(同課)という危惧もあったようだ。

 国や市の経済対策で宿泊施設や飲食店も持ち直し気味とはいえ、2年連続中止の影響は大きい。市観光協会の渡辺修平専務理事は「ギャラリーも多いし、観光業者は大会の開催を前提に一定の収入を見込んでいる。2年後はぜひ実施してほしい」と期待していた。

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