豪州SC:『シボレー・カマロ』の2022年正式参戦が決定。同時にGen3規定詳細もアナウンス

 すでに現地マウントパノラマでは2020年最終戦『バサースト1000』のプラクティスが始まっているVASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーだが、その木曜パドックではシリーズの将来に向けた新たな発表が行われ、2022年から施行される“Gen3規定”の詳細がアナウンスされた。車両のディメンションが見直されたフォード・マスタングのレンダリングを公開するとともに、GMからは『シボレー・カマロ・スーパーカー』のデビューが公式に発表されている。

 長らく議論の続いてきたこのGen3規定は、2013年から導入されているCOTF(Car of the Future/カー・オブ・ザ・フューチャー)規定に基づき、現在のGen2マシンよりもさらなるコスト削減を推し進めることが目的となる。

 その上で、ホールデン・コモドアやフォード・ファルコンなど4ドアサルーンを対象として策定された車両ディメンションも見直し、Gen2規定より許可されている2ドアクーペや5ドアハッチバックなどでもスケーリング上の優位性や性能差が生じないよう配慮。かつ見た目に“違和感”を抱くことがないよう見直しが行われる。

 新たなGen3マシンは現行モデルに比べダウンフォースが約200kg減少し、車両重量は100kg軽く、燃料タンク容量が拡大。寸法は全高、全福ともに100mm低く拡幅され、よりワイドなアピアランスとなる。

 これによりロードカーとの関連性が高まり、マニュファクチャラーの関与を拡大する一助になることが狙われており、シリーズのCEOを務めるショーン・シーマーは「このスポーツと文化の安定した未来に向け、大きな影響を与えるものになるだろう」と語った。

「重要な点としてマシンは高速で大音量であることを保証するため、独自のV8エンジン形式を保持するが、これは新たに“ハイブリッド対応”となり、ベースとなるロードカーにより近しい存在となるだろう」と続けるシーマーCEO。

「また新技術導入やコスト削減と同じぐらいマシンの外観には注意を払い、過去のスーパーカーに負けないぐらい素晴らしいルックスを実現することになる。このGen3プロジェクトはファンやパートナーの興味関心を高め、運用コストを削減しつつ、さらに激しいレースを提供することでシリーズの存在価値を引き上げるはずだ」

レンダリングが公開された『シボレー・カマロ・スーパーカー』のErebus Motorsport仕様
同じく、かつてはファクトリー契約チームとして開発とホモロゲーション取得を担ったWalkinshaw Andretti United仕様
同時にGen3規定Ver.の『フォード・マスタング・スーパーカー』のレンダリングも披露された

■マスタングvsカマロの対決が実現

 シーマーCEOはまた、新たに『シボレー・カマロ・スーパーカー』の参戦についても言及し、現在はホールデン・コモドアZBを走らせるトリプルエイト・レースエンジニアリングがGMホールデンのホモロゲーション・チームとしてのステータスを維持していることにも関連し、GMがシリーズに留まることが重要だったとの見解を示した。

「GMがオーストラリアのモータースポーツで存在感を維持する決断をしたのは素晴らしいニュースだ。カマロは新世代規定で重要な役割を果たすモデルになる」と話すシーマーCEO。

「ホールデン・ブランドの消滅はファンにとっても非常に悲しい出来事だったが、カマロが参戦すれば若いファンだけでなく、このスポーツにおけるマスタング、カマロの豊かな歴史を知る人々を興奮させる状況となるだろう」

 そのトリプルエイト・レースエンジニアリングの代表を務めるローランド・デーンも、2010年以降のVASCで成功を築いたホールデンとの歴史に触れつつ、BTCCイギリス・ツーリングカー選手権でのボクスホール(当時GM傘下)とのファクトリー活動から続くアライアンスが「未来に向けさらなる発展を見せることを願う」と語った。

「まずは『シボレー・カマロ・スーパーカー』という象徴的なモデルをVASCとオーストラリア大陸にカムバックさせるこができて喜んでいる。個人的に、1990年代のBTCCにまで遡るGMとの関係性をいつだって楽しんできたし、それが継続できることを心からうれしく思う」と語ったデーン代表。

「近年のVASCではレッドブル・レーシング・オーストラリアとしてともに成功を収めてきたが、新たにGen3カマロの開発を託されたことも光栄だ。カマロはロードカーとしても魅力的で、壮観で攻撃的なレースカーになることだろう」

「Gen3規制の導入に向け準備は順調に進んでいるが、今週(2020年最終戦バサースト1000)の目標はホールデンとホールデンのファンに、可能な限り最高の結果を提供することに完全に焦点を合わせている」

 シボレー・カマロはシリーズの前身となるATCCオーストラリアン・ツーリングカー選手権で1971年から2連覇を飾っており、1980年代にはバサースト1000でも戦った歴史を持つ。

 すでにタイトルが決定した今季のVASCだが、10月15~18日の週末にはシリーズ最大の祭典で“バサースト1000ウイナー”の栄冠を目指した真剣勝負が繰り広げられる。

全高を100mm低め、全幅は100mm拡大。グラスエリアと主要なボディパネルは、生産車の形状が維持される
フロントスポイラーやリヤウイングは現状暫定のもの。V8は7500回転上限で600PSを維持する
4ドアを対象に書かれた規定にスケーリングしている現行マスタングも、不自然なプロポーションは解消されることになる

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